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社長……ありがとうございます、
こんなに劣勢なボクを信じてくれてる……まだ勝機があると思ってくれてる……うん……まだだ、まだ頑張れる……
ボクの顔の少し上。
そこには【-28】【-34】【-72】【-51】と削られるライフの数字が浮かんでは消えていた。
急がなくちゃ、なんとかしてジャッキーさんの六尺棒を止めるんだ。
だけど……どうやって?
手は使えない、頼りの足は防ぎきれない、この速さじゃ目も追いつかない。
追い詰められる……ううん、だめだ落ち着け……思い出すんだボクのステータスを。
何かヒントになるような事があるはずなんだ。
Lv???/99(MAX)……ライフ:596……攻撃力:482……防御力:275……霊力:2301……すばやさ:55…………属性:風……風?
そうだ、ボクの属性は風だった。
ジャッキーさんの猛撃はビュンビュン風を切っている。
それはカマイタチのように、ボクの肌をかすめてるんだ。
この風……ボクのモノにならないだろうか……?
ゲームの中で魔法を使うならMPが必要になる。
ここ【マジカル陰陽師】で使うのは”魔法”じゃない、”霊力”だ。
ボクのステータスで霊力は2301とあった。
コントローラーのボタンをいくつかを押して、チュートリアル画面を開いてみた……けど、攻撃が激しくてまともに読めない。
ボクはクルリとターンして、痛みに耐えて斜め読み。
【…………霊力の使い方は言霊。キミが一番カッコイイと思う言霊を唱えながら〇ボタンとL1、L2ボタンの同時押しをしてみよう!……】
い、一番カッコイイと思う言霊……?
む、難しいな、でも、頑張る。
ボクは指定のボタンを同時に押した、で、ものすごーく小さい声で言霊を唱えた(なんて唱えたかは内緒だよ、恥ずかしくて言えない……)。
唱えて十を数えた時。
ボクの足元に楕円に絡む渦巻を見たの。
急に出てきてびっくりしたけど、すぐにわかった。
ボクが呼んだ”風”なんだって。
でも変わった”風”だったよ。
だって懐っこい子犬みたいだったんだ。
クルクルクルクルまとわりついて、ボクにくっつき上がってきたの。
イメージは小さな台風。
その台風は意思を持っているのか、ボクの耳元でヒュンヒュンと囁いたんだ。
それがぜんぜんイヤじゃなくて、くすぐったくて優しいの。
この小さな台風はボクの味方だ……って思った。
「ねぇ、ボクを助けてくれる?」
小さな台風は返事をしなかったけど、そう聞いた途端、瞬時突風と化し……ジャッキーさんの六尺棒を吹き飛ばしたんだ。
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