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「いーじゃんかー! あと少し! よくわかんないけど潜在能力? 開花したんだろ? え? まだわかんない? ダイジョブだよ!
きっと開花してるって! そしたら 嵐ちゃん、あと少しで帰れるじゃん!」
「あと少しじゃないよ、約束したろ? ある程度の時間になったら帰すって。今がその帰る時間だ。聞き分けないコト言ってないで、とっととログアウトして寝ろ!」
「……オ、オイ……弥生……回復霊術かけてくれ……ライフが……ライフがヤバイんだ……オイって……聞けって……おまえがシバいたんだろが……ガハッ……!」
ど、どうしよう、みんなが暴走し始めた。
それと……社長は大丈夫かな……?
弥生さんのさっきのシバきが相当効いてる……頭の上のライフバーが赤く点滅しちゃってるもん。
「やーだー! かーえーらーなーいー! 徹夜くらいどうってコトないよ! だって 若 い も ん っ !」
「まぁ、確かにそうだけど、自分はおまえが心配なんだ。デスクワークじゃないんだぞ?」
「オ、オイ……だから、回復霊術……かけてくれって……それからジャッキー、弥生は若くねぇぞ? そりゃジャッキーよりは若いけどよ」
しゃ、社長はどうしてヒーラーに喧嘩を売ってしまうんだろう?
一番大事にしなくちゃいけないキャラなのに……アイテムのないこの状況では弥生さんしか回復出来ないのに……(その弥生さんにやられたんだけど)
「っだよ! 誠ウルセェぞ! じゃあさ、嵐ちゃんも一緒に帰ろう! それならアタシ、ログアウトするよ!」
「だそうだ、嵐くん。すまないがココはひとつ、キミが大人になってくれないか? 一緒にリアルに戻ってくれ」
「や、弥生……回復霊術を……!」
な、なんだか、空気がどうのうとか、嫌われたかもとか……そういうの考えてたのボクだけだったのかな……?
だ、だって……みんな自由すぎる。
ホッとして力が抜けて……な……その時、
「とにかくよ、」
ライフバーが激しく点滅する社長が地面に転がりながら……こう言ってくれたの。
「嵐はさっき、ネットの世界に残りてぇって言ってたけどよ、ソレ、本心か? せっかくウチの会社に入ったのによ、研修真っ只中で、お楽しみのOJTもこれからだ。なのに途中でやめるのか? そりゃあ今は大変かもわからねぇ。でもよ、研修終わってひとり立ちしたら、基本、現場に直行直帰。会社の連中の目も気にせず自分のペースで仕事が出来る。楽しいぜ? 現場でしっかりやってくれりゃあ、他はウルセぇ事言うつもりはねぇしよ。リアルもそんなに悪くねぇと思うがな、」
「社長……ボ、ボクは……その……」
「それともアレか? 嵐の顔が赤くなるってヤツ、そんなに気にしてるのか? ネットの世界にいればそれが気にならねぇか? おまえ、リアルにいる時の10倍はしゃべってるもんな。俺らが絵だから緊張しねぇんだろ?」
「……そ、そうです。リアルじゃないから、生身じゃないから、みんなとしゃべるの、ボイスチャットみたいで緊張しない……ボク、初めてです。顔のコト気にしないでお話出来るのも、誰かと一緒に何かをするのも……リアルじゃ絶対に有り得ないもん……バーチャルだから出来たんです。普通の人みたいに、オドオドしないですむの……それが……すごく嬉しかった。なのに……リアルに戻ったら……緊張してまたきっと話せなくなて……振り出しに戻っちゃう……そんなの……仲良くしてもらった分、よけいに悲しいだろうなぁって……」
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