第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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「なるほどな。要は、俺達といて楽しかった。また一緒に遊びてぇ。でも赤面症がジャマしてリアルじゃ遊べねぇかもしれねぇ。じゃあこのままネットの世界にいた方がいいって思ったのか」 社長は地面にコロンコロンしてるのに……核心をついてきたんだ。 「あ……えっと……それだけじゃないけど……でも……はい……大体あってます、ごめんなさい」 ボ、ボク、頭の中はグルグルで、考えるコトが多過ぎて、どうしたらいいかわからなくて……すっごい悩んでいるのに…… こ、こんなふうに短くまとめられると……あれ? たったこれだけのコトだった? って……気が付けたの。 そうだ、ボクは……ただ、みんなと一緒にいたかったんだ。 「俺は単純だからよ、みんなでネットゲームして楽しかった。じゃあまたやろうぜ! ってだけの話だと思うんだがな。違うか? それによ、リアルでツラ合わせて、顔が赤くなって緊張すんのがヤダってんなら、顔を見せなきゃいいじゃねぇか。ウチな、親父が元プロレスラーなんだ。なんだったら覆面マスク持ってきてやろうか? 親父は覆面レスラーじゃなかったけど、一時、対戦相手のマスク狩りばっかやってたんだ。奪ったマスクは親父のコレクションになってるが、一枚くらいなくなったってわかりゃしねぇだろ」 「え……っと、もしかして、その覆面をボクがかぶるってコト……ですか……? そ、それなら顔、見られなくてすむかも……で、でも! お父さんの大事な覆面コレクション、持ち出しちゃダメですよ。汚したら大変、」 「あぁ? 汚すの心配してんのか。大丈夫だ、なんせ元から血で汚れてるからよ」 ち、血で汚れてる……!? 壮絶な試合だったんだろうな……ちょっとコワイ。 で、でも、社長の気持ちはすごく嬉しい。 起き上がるのをとっくに諦めてる社長は、寝っ転がったままこう言った。 「リアルに帰ったら、覆面貸してやるから、(らん)かジャッキーの家に集まるか。ゲームして遊ぼうぜ! あ、キーマンも呼んでやろ! ……って、(らん)はまだキーマンと会ったコトねぇよな。すっげーおもしれぇヤツだから楽しみにしとけ!」 「……あ…………はい、」 す、すごい……信じられない……! ボクかジャッキーさんの家に集まる……? みんなでゲームをする……? 次の約束ってコトだよね……? みんなで会う為の約束……! ボク抜きじゃなくて、ボクも一緒に……! 「ちょっとー! アタシも一緒に遊びたいんだけどっ! つかさー誠はゲーム出来ないじゃん!」 「へっ! 言ってろよ! 次集まる時は華麗に操作してやるから!」 社長と弥生さんの口喧嘩が始まって、フーちゃんははしゃぐようにボクにまとわりついた。 ジャッキーさんは……あれ……? どうしたんだ……? 一人だけで離れた場所にいってしまった。 何をしてるんだろう……?
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