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小学生の喧嘩みたいな社長と弥生さん。
ジャッキーさんはテクテクと戻ってきながら「また始まった……」と苦笑いをしていた。
「いや、ゴメンゴメン。先代から連絡が来て少し話してたの。社長と弥生がうるさくて聞こえないから、リアルのスピーカーミュートにして離れてたんだ。嵐くん、先代からの伝言で生身の身体は無事だし、ご家族も異変に気付いてないって。今のうちにリアルに戻れば騒ぎにはならないだろうってさ」
そ、そか。
ジャッキーさん、リアルで先代とお話してたんだ。
先代、ボクの身体を守ってくれてるんだよね。
迷惑かけちゃってるな……
うん、そうだ……これ以上迷惑かけられないよ、頑張って帰ろう。
リアルに戻ったら……またいろいろ悩むと思うけど、みんなで遊ぶ約束をしたんだもん。
『またいつか』って社交辞令じゃない、てホンモノの約束。
「あ、ありがとうございます。ボク……リアルに帰らなくていいとか、お騒がせしてすみませんでした。……あの、帰ります……で、でも……どうやって帰ったらいいのかな、潜在能力……引き出された感じしないし……」
帰るはいいけど、方法がわからない。
また最初に戻ってしまった……と唸っていたら。
「そのコトなんだけどね。ずっと嵐くんについてる先代が言うには、意識のないキミの身体から、時々電気が発せられるらしいんだ。オレンジ色の線状の電気が勢いよく飛び出して壁や天井に刺さっては消える……それが始まったのは、自分とバトルをして少ししたあたりだって」
線状の電流が……?
ボクの身体は今、リアルのボクの部屋にいる。
そこで気を失っている身体の傍に先代がついていてくれるの。
ジャッキーさんとのバトル中は……ついつい力が入って、放電しちゃってたのは覚えてる……その電気は空に飛んで消えたとばかり思ってた……
まさかリアルの、生身の身体から放出されていたなんて……それって……
「たぶんだけど、嵐くんが発した電気は、生身の身体を中継点にリアルまで到達してるんじゃないかな? という事は……ネットの世界から思いっきり放電し、その電気につかまればリアルまで連れていってくれると思うんだがね、どうだろう?」
「そ、そうかもしれないけど……だいじょうぶかな……だってネットの世界に来てすぐ、帰りたくて何度も放電したんです。でも帰れなかった。ネットの中を移動しただけ……うまく帰れたらいいけど……もしもどこか知らないサイトに飛んじゃったら……そうなったら……みんなとも離れちゃうし……一人になったら怖いな……」
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