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さっきは運が良かったの。
だって移動したサイトは全部日本のネットゲーム内だったんだから。
これが外国の……個人で運営してるブログとかに行っちゃったら……見つけてもらうのは難しい。
「ん……確かにそういったリスクもあるよ。でもね、自分は大丈夫だと思ってるんだ。なぜかって? 嵐くんは自分とのバトルの中で潜在能力が開花したからさ」
「……え、あの……ボクが言うのも情けないけど……潜在能力、開花されてないと思います、だって何も変わってないもの」
「いいや、変わった。先代は言ってたよ。電気が身体から放出され始めたのはついさっきからだって。その前まで、生身の身体はただ眠っているだけだったと。嵐くん、それがどういう意味かわかるだろ? キミは進化したんだ」
グッと親指を立ててボクを見るジャッキーさん。
いつの間に口喧嘩が終わったのか、社長と弥生さんも親指を立てている。
「大丈夫だよ! 嵐ちゃんはやれば出来る子だ!」
「そうだ。バトルで自分をあれだけ追い詰めたのは、嵐くんだけだよ。キミなら出来る!」
弥生さんとジャッキーさんは……ボクが出来ると信じてくれる。
こ、こ、怖いけど……が、頑張ってみようかな……
あ……で、でも待って……や、やっぱり怖い……どうしよう……
決心のつかないボクがオロオロしていると、社長がまじめな声で言ったの。
「まぁ、怖えのは分かるよ。でもな、ネットの世界でグダグダ言ってても始まらねぇ。だから行け。大丈夫だ、嵐がもし別のサイトに飛ばされたとしても、必ず俺らが見つけてやる。何度だって迎えにいく、絶対に助けてやるから」
その時の社長は、まだ地面に転がっていたけど、それでもすごくカッコ良くて、すごく頼りになって……もちろん、ジャッキーさんも弥生さんも。
力が抜けるのがわかった。
緊張と恐怖心が薄れてく。
「ありがとうございます、……ボク、もう怖くないです。やります、リアルに帰ります。無事に帰れたら……みんなに電話しますから……待っててください」
「ああ」、三人の声が重なって、ボクは……空に向かって手を伸ばしたんだ。
神経を集中させて、丸めた両手にエネルギーを溜めて、そして____
「また後でっ!」
霊力の限り放電をした。
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