第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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さっきは運が良かったの。 だって移動したサイトは全部日本のネットゲーム内だったんだから。 これが外国の……個人で運営してるブログとかに行っちゃったら……見つけてもらうのは難しい。 「ん……確かにそういったリスクもあるよ。でもね、自分は大丈夫だと思ってるんだ。なぜかって? (らん)くんは自分とのバトルの中で潜在能力が開花したからさ」 「……え、あの……ボクが言うのも情けないけど……潜在能力、開花されてないと思います、だって何も変わってないもの」 「いいや、変わった。先代は言ってたよ。電気が身体から放出され始めたのはついさっきからだって。その前まで、生身の身体はただ眠っているだけだったと。(らん)くん、それがどういう意味かわかるだろ? キミは進化したんだ」 グッと親指を立ててボクを見るジャッキーさん。 いつの間に口喧嘩が終わったのか、社長と弥生さんも親指を立てている。 「大丈夫だよ! (らん)ちゃんはやれば出来る子だ!」 「そうだ。バトルで自分をあれだけ追い詰めたのは、(らん)くんだけだよ。キミなら出来る!」 弥生さんとジャッキーさんは……ボクが出来ると信じてくれる。 こ、こ、怖いけど……が、頑張ってみようかな…… あ……で、でも待って……や、やっぱり怖い……どうしよう…… 決心のつかないボクがオロオロしていると、社長がまじめな声で言ったの。 「まぁ、(こえ)えのは分かるよ。でもな、ネットの世界(ココ)でグダグダ言ってても始まらねぇ。だから行け。大丈夫だ、(らん)がもし別のサイトに飛ばされたとしても、必ず俺らが見つけてやる。何度だって迎えにいく、絶対に助けてやるから」 その時の社長は、まだ地面に転がっていたけど、それでもすごくカッコ良くて、すごく頼りになって……もちろん、ジャッキーさんも弥生さんも。 力が抜けるのがわかった。 緊張と恐怖心が薄れてく。 「ありがとうございます、……ボク、もう怖くないです。やります、リアルに帰ります。無事に帰れたら……みんなに電話しますから……待っててください」 「ああ」、三人の声が重なって、ボクは……空に向かって手を伸ばしたんだ。 神経を集中させて、丸めた両手にエネルギーを溜めて、そして____ 「また後でっ!」 霊力(ちから)の限り放電をした。
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