第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

82/122
前へ
/2550ページ
次へ
前を見れば「GOスパンキーングッ!」とキーマンさん。 後ろを視れば『ウガァァァァァァッ!』と咆哮のバッドベアー(やんちゃなクマ)(大)。 ナニコレ……! 濃すぎる二者に挟まれてるんですけどぉぉぉ! もうなんなのぉぉぉぉ!? このとっちらかった状況はぁぁぁぁ!  僕と(らん)さん、前世でよっぽどワルイコトしたのかなぁぁぁぁ!? 「(らん)さん! とりあえず逃げよう! 前方0時の方向へ全力ダッシュ! ハイ、ドーンッ!」 「う、うんっ!」 二人同時に駆け出した。 バッドベアー(やんちゃなクマ)(大)が視えないキーマンさんは、必死の形相で迫り来る僕らを見て「ホワッツ!?」と固まるも、追い抜きざまに(らん)さんが「行くよっ!」と手を握り、引きずるように走らせた。 結果、位置関係はこう変わる。 (矢印の方向は目線ね) 僕、(らん)さん、キーマンさん(走) ↑ ↑ ↑ ↑ 汚れたバッドベアー(縫いぐるみ)(ポツーン) ↑ ↑ バッドベアー(やんちゃなクマ)(大)(ウガァァ) ヨシッ! バッドベアー(やんちゃなクマ)(大)はデカイけれども動きは鈍い。 男三人の全力疾走は、巨熊とかなりの距離を確保した。 「みんな! あそこに入って!」 走りながら目に入った小さな古い小屋。 木のドアをドカン! と開けて、なだれ込むように中に入り、そして閉めた。 ハァ……ハァ……ハァ…… 息が切れる……こんなに走ったのは久しぶりだ。 なんとか息を整え、改めて小屋を見る……中は畳4~5枚ほどの狭い空間。 置いてある物といえば、熊手、竹のほうき、ロープにゴミ袋、中身不明の汚れた瓶が数本……どうやら林の管理で必要な物を入れておく物置のようだ。 小屋の壁は……老朽化だろうな。 所々に亀裂が入り、そこから覗けば外が見える。 僕は壁にへばりつき、バッドベアー(やんちゃなクマ)(大)の様子を伺った。 『ガァァァアアアアアアッ!!』 アイタタタ……ぜんぜんテンション下がってないよ。 巨大なクマは僕達を見失ったのか立ち止まり、辺りをキョロキョロ見渡している。 いいぞ! そのままずっと探してろ! どーか、小屋に気付きませんよーに!(無理だろうけど、時間の問題だろうけど)
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加