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前を見れば「GOスパンキーングッ!」とキーマンさん。
後ろを視れば『ウガァァァァァァッ!』と咆哮のバッドベアー(大)。
ナニコレ……!
濃すぎる二者に挟まれてるんですけどぉぉぉ!
もうなんなのぉぉぉぉ!?
このとっちらかった状況はぁぁぁぁ!
僕と嵐さん、前世でよっぽどワルイコトしたのかなぁぁぁぁ!?
「嵐さん! とりあえず逃げよう! 前方0時の方向へ全力ダッシュ! ハイ、ドーンッ!」
「う、うんっ!」
二人同時に駆け出した。
バッドベアー(大)が視えないキーマンさんは、必死の形相で迫り来る僕らを見て「ホワッツ!?」と固まるも、追い抜きざまに嵐さんが「行くよっ!」と手を握り、引きずるように走らせた。
結果、位置関係はこう変わる。
(矢印の方向は目線ね)
僕、嵐さん、キーマンさん(走)
↑
↑
↑
↑
汚れたバッドベアー(ポツーン)
↑
↑
バッドベアー(大)(ウガァァ)
ヨシッ!
バッドベアー(大)はデカイけれども動きは鈍い。
男三人の全力疾走は、巨熊とかなりの距離を確保した。
「みんな! あそこに入って!」
走りながら目に入った小さな古い小屋。
木のドアをドカン! と開けて、なだれ込むように中に入り、そして閉めた。
ハァ……ハァ……ハァ……
息が切れる……こんなに走ったのは久しぶりだ。
なんとか息を整え、改めて小屋を見る……中は畳4~5枚ほどの狭い空間。
置いてある物といえば、熊手、竹のほうき、ロープにゴミ袋、中身不明の汚れた瓶が数本……どうやら林の管理で必要な物を入れておく物置のようだ。
小屋の壁は……老朽化だろうな。
所々に亀裂が入り、そこから覗けば外が見える。
僕は壁にへばりつき、バッドベアー(大)の様子を伺った。
『ガァァァアアアアアアッ!!』
アイタタタ……ぜんぜんテンション下がってないよ。
巨大なクマは僕達を見失ったのか立ち止まり、辺りをキョロキョロ見渡している。
いいぞ! そのままずっと探してろ!
どーか、小屋に気付きませんよーに!(無理だろうけど、時間の問題だろうけど)
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