2367人が本棚に入れています
本棚に追加
さてと、これからどうしよう。
バッドベアーと話が出来ればベストだけど、あの感じじゃあ、まともな話は無理じゃないか……?
本当は、斎藤様を苦しめるのはもうやめにしてくれと頼みたいのに。
その前に、まさに今、僕らが苦しめられちゃってますよ。
むぅ……なんて頭を抱えていた時だった。
「あ、あ、あ、あのっ!」
突然だった。
つっかえながらの必死な声。
振り向けば、目と耳を真っ赤にした嵐さんと視線が合った。
あ……大丈夫かな?
またギョッとされるかな?
また目を反らされるかな?
それともすぐに後ろを向いちゃうのかな?
そう思っていたのに……繊細すぎる先輩霊媒師は、唇をワナワナさせながらも頑張って僕を見続けていた。
「どうしたの?」
なるべく自然を装って返事をする、と。
嵐さんは浅い呼吸で、ひっきりなしに息を吐いた。
僕を見て、キーマンさんを見て、俯いたかと思うと上を向き、自分の頬をペチペチ叩く。
顔はもう泣きそうで、しばらく黙った後、意を決したように口を開いた。
「お、岡村さん、ボクと、さ、さ、さ、作戦会議をしよう。ほ、本当は、キーちゃんが、スリーマンセルの、リ、リーダーだし、ボクが、で、出しゃばるの良くないけど、でも、こ、ここからは、クマちゃんと、直接対応する、ボ、ボクと岡村さんで、話した方が、い、良いと思うんだ、……そ、それで、ボクは……た、頼りないだろうけど、い、一応、先輩だし、ちゃんと作戦、立てて、お、岡村さんを、ま、守りたいの。……しゃ、社長と、ジャッキーさんと、や、弥生さんが……ボクに、そうしてくれたように、」
声……めちゃくちゃ震えてるな。
こんなに狭い小屋の中、至近距離で目を合わせて会話する。
これが嵐さんにとって、どれだけ大変な事か。
なのに……この子は作戦会議がしたいと言った。
先輩だから、自分もそうされてきたから、だから僕のコトも守りたいと言ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!