第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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◆ 「ホワッツ……? さっきから揺れてる気がする。メイビー(もしかして)……地震か? アーウチ、小屋(ココ)には潜れるデスクがない、これはピンチだぜ! hahahahah」 なんて呑気に笑うキーマンさんを横目で見つつ、僕は脳内に水渦(みうず)さんの霊矢の印を再生させていた。 霊矢発動まで5分前後と時間がかかるのだ。 だったらバッドベアー(やんちゃなクマ)と対決する前に、先に小屋(ココ)で印を結んで準備をしてから挑んだ方が良い。 霊矢の印は長い工程が必要で、僕は注意しながら結んでいた。 小屋の外にはバッドベアー(やんちゃなクマ)の咆哮。 壁から覗けばウロウロしてる。 どうやらまだ僕達を探してるようだ。 急がなくちゃ……アイツが小屋に気付く前に外に出たい。 霊の姿が視えない聞こえない(・・・・・・・・・)キーマンさんには、戦闘中だけ小屋に残ってもらうつもりだもの。 だからバッドベアー(やんちゃなクマ)(大)に見つかりたくないんだ。 はやる気持ちを抑え印を組む。 手指を曲げて伸ばして絡めて解いて、ひたすらこれを繰り返し数分が経った頃……来た。 ああ……これだ、この感覚……前の時と同じだ。 僕の中の奥底から、沸騰した血液に似た何かが、五指に向かって、速度をもって、駆け上がってくるんだ。 ビリッ! 一瞬、電気に撃たれたようなインパクトがあった。 濡れた手で電源プラグに触れたような、鋭い痛みと痺れるような感覚だ。 印は……間違えずに結べただろうか? 7割の自信と3割の不安の中、両手両五指に目をやると……あ……良かった。 そこには、印はノーミスで結びきったという、確かな証拠があった。 すべての指の先端。 そこには、さっきまではなかった赤い電気が、静かに火花を散らしていた。 「お、岡村さん……! その指……す、すごいよ……お、小野坂さんみたい……!」 (らん)さんは、赤く光る僕の指を子供のような顔で見つめている。 それはまるで、都会の真ん中で、いるはずのないカブトムシを見つけたような……なんでこんなコトロにいるの!? 珍しいモノ発見!  といった良い表情(かお)だ。 「あはは、だって水渦(みうず)さんから教えてもらった霊矢だからねぇ。そりゃあ同じだよ。ただ、水渦(みうず)さんの霊矢は蒼色、僕のは赤だ。同じ電気でも、個々のカラーが反映されるみたいだね」
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