第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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「すごいねっ!」 と、まだほんのりと幼さが残る顔で僕を見る(らん)さん。 てか今、ガッツリ目が合っているんだけど、キャーキャー言うのに忙しそうで、本人気付いてないみたい。 そういや、さっき、バッドベアー(やんちゃなクマ)から逃げる時もそうだったかも。 テンパってたから目が合ったのに、ギョッともしないで言葉を交わして走って逃げた。 これ……こういうのをうまく使えば……もしかして緊張するのを減らせる事が出来るんじゃないか? ま、これは斎藤様の現場が無事終わったら改めて考えよう。 「キーマンさん、そろそろ行ってきますね」 印は完璧、霊矢は発動中。 あとは作戦通り、遠戦担当の僕が距離を取って霊矢を放ち、バッドベアー(やんちゃなクマ)霊力(ちから)をゴリゴリと削る。 その結果、あの巨大クマが低血圧の女の子みたいになったら……一旦霊矢を止めて、(らん)さんにバトンタッチするんだ。 そうなれば後半、接近戦担当の(らん)さんが、滅さずにクマを拘束してくれる……予定。 てか(らん)さんって、接近戦タイプだったんだな(本人申告)。 わぁ、なんだろ、イメージ沸かないわ。 だって僕と同じ匂いがするもの。 平和主義で大人しく、これまでの人生で、誰かと喧嘩なんてしたコトがないって感じ。 最初聞いた時はダイジョブかな……って心配になったけど、さっき言ってたもんな。 ネットダイブスキル習得の為に半年間、社長と格闘技の修行をしたって。 社長はなんたって、元プロレスラーのご両親を持つ、戦闘サラブレッドなのだ。 そんな社長直々に修行をつけてもらった(らん)さんなら、きっとスゴイ戦いを見せてくれるはず。 ああもう、大船に乗った感がハンパないよ。
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