第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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◆ 「トギャザー出来なくてソーリーだ。いいか、キャサリン、チェリーボーイ、よく聞いてくれ。デンジャーになったらすぐにバックしろ。ミッションも大事だが、それ以上にボーイ達が大事だからな。アンダスターン(わかったか)?」 キーマンさんに見送られ、おくりび内で”もっとも大人しい男性社員” 第1位((らん)さん)と第2位(僕)のツートップで外に出た。 バッドベアー(やんちゃなクマ)(大)は……いた。 探すまでもない、霊体(からだ)がデカイからすぐわかる。 ここから2時の方向、目測10メートル先だ。 『ガァァァアアアアアアッ!! ガオォォオオオオオッ!!』 咆哮と共にウロウロするバッドベアー(やんちゃなクマ)(大)は、ドスーンドスーンと歩くたびに地面を揺らす。 さっきキーマンさんが「地震か?」と言っていたのはクマ太郎の足音を感じたのだろうな。 「(らん)さん、ここで一旦バラバラになろう。僕は捕まらないように動きながら霊矢を撃ち込む。クマの霊力(ちから)が弱くなったら戻るからココにいて」 僕が両手両五指、赤い火花を確認しながらそう言うと、 「わかった。ボクはココで待機だね。霊矢があるから大丈夫だと思うけど……見てるから、ピンチになったらすぐに援護に行くからね」 (らん)さんは、僕と目を合わせたまま力強く答えてくれた。 そっか……ピンチになったら来てくれるのか。 先輩だけど8コも年下なのに、新人の僕を守ろうとしてくれるんだ。 ああもう、この子は本当に。 「頼もしいな、ありがと。じゃ、行ってくるっ!」 僕は前方、2時の方向にダッシュした。 霊矢はまだ撃たない。 撃てば飛んできた方向から居場所が知れてしまう。 だから離れたかったんだ。 (らん)さんのいる場所とキーマンさんがいる小屋と、その両方から十分離れて、二人の安全を確保してから……撃つのだっ! 『ガァァァアアアアアアッ!! ガオォォオオオオオッ!!』 バッドベアー(やんちゃなクマ)の咆哮が耳にビリつく。 僕は今、クマ太郎から目測10メートル弱の距離にいて、ヤツはまだ僕に気付いていない。 いいぞ! このまま下から、背後から、不意打ちで撃ち込む。 あれだけ霊体(からだ)がデカいんだ。 外す事はまずないだろう。 1度の発射で霊矢が10本。 バッドベアー(やんちゃなクマ)霊力(ちから)をゴリゴリに削ってやる。 僕は目線を上げて巨大な標的に照準を合わせた。 と言っても指を向けるだけだけど。 バッドベアー(やんちゃなクマ)は全然気づいていない。 地味な色のグレーのスーツはうまく僕を隠してくれているのかも。
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