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____コンナコトヲしてタダデすムとオモウナヨ……
____オマエらゼンイン呪ッテヤる……
____オマエモ、オマエモ、オマエモ、オマエモ……
____モチロン……ネコも……へびモダ……
____ゼッタイニユルサナイ……!
恨み辛みを固めたような。
凄みの声が呪いの言葉を吐き出した。
怒りが霊体を震わせせるのか、その振動は僕の身体をも微かに揺らす。
『コウカイシテモ、モウオソイ……テオクレダ、呪イハハシリダシタ………………ウガァァァアアアアアアアアアアッッ!!』
クワッと大きなお口を開けて、咆哮するはバッドベアー……なのだが、
『るっせーよっ!!(ベシッ!!)』
あまりの大声にキレた社長が、クマのオデコに強烈なデコピンをお見舞いした。
『イタッ! ナニすんだこのツルツル野郎! オレがフサフサすぎて嫉妬してるんだろう! ココロが醜いな、育毛剤かぶって出直して来い!』
フサフサすぎてって……まぁねぇ、縫いぐるみだからねぇ。
巨大クマからチビクマに変化して(コッチが本来の姿か?)、ココア色の霊体は全身フワフワのモコモコだ。
しかし……視た目だけじゃない、めっちゃキャラが変わった。
巨大な時は『ウガァァ』しか言わなかったのに、今は近所のオジサンみたいだ。
贔屓の野球チームが負けたみたいな不機嫌さで悪態をついてる。
そのチビクマを拘束すべく、霊体に干渉可能な僕が抱えているのだが……まぁ、さっきからこの調子でちっとも大人しくしてくれない。
手足をバタバタさせて隙あらば逃げ出す気満々だ。
『あぁ? 育毛剤なんていらねぇよ! 俺はハゲじゃねぇ! つーかむしろハゲてぇ! カッコいいじゃねぇか! これはな、毎日剃ってんだよっ! この頭はあえてだよっ!』
って、えぇ!?
そうだったの!?
僕はてっきり毛根が機能停止してるもんだと思ってたのに!
違ったんだ……し……知らなかったよ……!
『フン! なんだっていいわ、小僧の頭なんぞに興味はないからなっ! それよりオマエ! オマエだよ、オマエ! 手を放せ! オレを自由にしろっ! 言う事聞かないと呪うぞ!』
丸いお顔を上に向け、精一杯凄んでみせるのだが、いや放す訳ないでしょ。
逃げないように抱えてるんだから。
僕は口の悪いチビクマを抱いたまま、顔だけを下に向ける……と、見上げるクマと目が合った……うっ……なんだよ、可愛いな。
「や、ごめんね。それは出来ない。だって放したら逃げるもの。あのね、僕らはあなたと話がしたいの。斎藤様に十年も憑りつくなんていけない事だ。……でも、僕はあなただけが悪いとは思ってない。突然、斎藤様にさらわれて、おなかを裂かれて呪いの道具にされたんだ。怨みたくもなると思う、」
『……………………フン』
僕がそう言うと、チビクマは暴れるのをやめた。
黙ったまま、なんとも言えない空気を出している。
しばらくそうして、なにかを考えているようで、その間、僕や嵐さんはもちろんだけど、社長もジャッキーさんも黙ってた。
チビクマが何か言いだすのを待っていたんだ。
そして、
『……………………十年か、そうだな。あっという間に時が流れた。結局みどりはオレを探しにこなかった。オレは……置いて行かれたあの日から、雨の日も風の日も雪の日も、ずっとココでひとりぼっちだ』
チビクマは、はぁぁと溜息をついた。
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