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『……おい、オマエ。コイツに伝えろ。変なしゃべり方するなって。それと……るりに会いたいかって? 会いたいに決まってんだろ。……な、なぁ、コイツの言うマスターレベルの霊媒師って……オマエの事か? それともそっちのオレンジ髪か?
どっちだっていい ……ほ、本当に林から解放してくれるのか……? もしそれが本当なら……オレはるりを探しにいきたい……るりに会えるなら、みどりなんかどうだっていい……けど……やっぱりだめだ……だってるりの髪は残り僅かだ。なくなれば今みたいには動けない。……クソォ……こんな霊体じゃあ、遠くに行ったるりを探しに行けない……はぁぁ』
僕に抱っこされながら、キーマンさんにクレームをつけたあと、”るりを探しに行けない”とシオシオと萎れてしまった。
そんなチビクマがかわいそうでならなかった。
髪が底をついたらどうなってしまうのだろう。
魂は残るだろうけど、お姉さまと暮らしていた時のように、覚醒しきれない意識で夢の中にいるような、そんな状態に戻ってしまうのだろうか?
今みたいに知を持って話が出来る、それでいて不機嫌なオジサンではなくなってしまうのだろうか?(けっこうオジサンキャラが好き)
女の髪には霊力が宿る、チビクマは霊力でもって自由に動く(行動範囲に制限はあるけれど)。
……
…………
それなら……その足りない霊力を補ったらどうだろう?
「ヘイ! チェリーボーイ! バッドベアーはなんて言ってる? シスターに会いたいと言ってるか?」
ハリーアンサーッ! とワクテカ顔のキーマンさんに、通訳よろしくこう答えた。
「あ、えっと……はい、言ってます。それとキーマンさんのしゃべり……あー、うん、コレはいいや、なんでもないです。とにかく、チビクマはお姉さまに会いたいと強く願ってます。ただ……問題があって、林から解放したとしても、その後活動するだけの霊力が足りません……髪が底をつけば動けなくなるんだ……それで、そのコトなんだけど、僕に考えがありまして……」
「ホワーッツ?」
「岡村さん?」
首を傾げるキーマンさんと嵐さんに「少し待ってね」と伝えつつ、僕はチビクマを下におろすと、両手を向かい合わせ精神を集中させた。
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