第十八章 霊媒師 深渡瀬 嵐(ふかわたせ らん)

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徐々に強まる霊力(ちから)の中で、眩い光がチビクマの輪郭を消し去った。 術者の僕も目がまぶしくて開けていられない。 それから数十秒。 まぶたに透ける光が弱まり、僕はそっと目を開けた。 そこには、短い手で自分の霊体(からだ)何度もさわって『お……お……』と漏らすチビクマがいた。 『お……お……おいおまえ……なにをしたんだ、霊体(からだ)がすごく……楽になったし元気になった、』 「そっか、よかった。癒しの言霊っていうんだ。疲労回復から霊体(からだ)の不調まで、だいたいは治しちゃうし、しばらく動けるだけの霊力(ちから)も送った。これでお姉さまの髪が無くなっても大丈夫だよ」 『お、おまえ……オレを救ったのか……? 正気か? みどりになんて言うんだよ? おまえ……いや、おまえたち、怒られるぞ?』 チビクマは僕と(らん)さんとキーマンさん、それから社長にジャッキーさんを順番に視る。 小さな霊体(からだ)が子犬のように震えてる。 チビクマに何をしたのか、チビクマが何を言っているのか、僕がキーマンさんに説明している間、(らん)さんがチビクマに話しかけていた。 「そうだね、怒られちゃうかも。……やだなぁ、こわいなぁ。ねぇ、クマちゃん。ボク達が怒られないように協力してくれない? クマちゃんが斎藤様に憑りつくのをやめてくれたら、きっと怒られないと思うんだ」 優しい話し方だ。 ゆっくりとして声のトーンは少し高め。 オレンジ色の髪が風に吹かれて揺れている。 『……フ、フン。し、仕方ないな。最近みどりに飽きてきたところだったし、それに……霊体(からだ)が元気になったから、るりを探しに行ける。この霊体(からだ)じゃあ、るりに気付いてもらえないけど、顔が視れたらそれでいい』 チビクマは恥ずかしそうに、でも弾んだ声でそう言った。 良い意味で、斎藤様への興味が薄くなったように思える。 気持ちはお姉さまに向いている。
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