2367人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハッハーッ! ザッツ グレーーーーートッ! ヘイ、バッドベアー! これでシスターに会えるな! but、ベアーはシスターがどこにいるのか知ってるのか? 俺は知ってる! みどりから聞いたんだ、トキオタウンにLiveingって! ジャスト ライト、俺達はこのジョブが終わったら東京に帰る、だからトギャザーすればいい! オッケイ? アンダスターーーン?」
僕の説明を聞いたキーマンさんは、視えないクマに一緒に行こうと誘いをかけた。
おぉ、いい考え!
チビクマはお姉さまを探すというけど、キーマンさんの言う通り、広い東京で当てずっぽうにあたって見つかる訳がない。
事情を話して斎藤様からお姉さまに連絡をつけてもらおう。
それで、東京のどこかで待ち合わせて、チビクマに会ってもらうんだ。
「そうだよ、一緒に車で行こうよ。お姉さまのところまで送ってあげる。陰から顔を見るだけじゃなくて縫いぐるみで会うんだ。十年振りで驚くかもしれないけど、僕達がちゃんと説明する。そうすれば昔みたいに一緒に暮らせるよ」
チビクマは僕の話に最初こそ喜んだものの、後半はどんよりと肩を落としてしまった。
『縫いぐるみで会う……? 何を言うんだ、そんな事は出来ないよ。さっき見たじゃないか。本体はグチャグチャでドロドロ。るりを怖がらせてしまう、……オレはるりに嫌われたくないんだ』
「ん……それは……確かに汚れてるかもしれないけど……で、でも大丈夫だよ。ホラ、キレイに洗って乾かして、それで」
『誰がそれをするんだよ。あんなの、誰も触りたいと思わない。泥と雨水と十年分の汚れでいっぱいだ。それだけじゃない。腹は裂けてるし、劣化も激しい。ところどころ穴も開いてる。洗ったくらいじゃどうにもならないよ……オレはゴミみたいなもので____』
チビクマはここで言葉を止めた。
目線がキーマンさんに釘付けで、時が止まったように視つめていた。
そのキーマンさんはというと「ヒャッハー!」と叫びながらダッシュして、何かを抱えて戻ってきた。
それはチビクマの本体だった。
さっき、木の下においておいたのを持ってきたのだ。
服が汚れるのも構わずに、大事そうに胸に抱いている。
「キャサリン! チェリーボーイ! ビッグラッキー! アーーンド、バッドベアー! そうと決まればトゥギャザーゴーホームだ! おっと、縫いぐるみは俺に任せてくれよ? 泥だらけでずいぶんとワイルドだが、最高のプリティベアーに戻してやる! 俺のアパートメントで、レッツハッピーバスタイムだ! Don't worry、この程度のリペアーなんてイージービクトリーだっ!」
キーマンさんはそう言ってキラッと歯を光らせたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!