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そうね、確かに縫いぐるみはグチャグチャのドロドロだけど、その修復は、ミリタリープリンセスを造るより簡単そうだ。
なんたってキーマンさんは有名なドール作家さんなのだ。
リペアーなんて朝飯前、まさにイージービクトリー。
『……この変な話し方のヤツはオレを直すって言うのか……? そんな事……本当に出来るのか……? だってこんなに……』
チビクマは悲惨な状態の本体を視て絶句する……が、嵐さんがニコニコ笑って言ったんだ。
「ダイジョウブだよ。キーちゃんは器用なんだ。任せておけばキレイにしてくれる。お姉さまに会う前に、おめかししてもらうといいよ」
『ほ、ほんとか……? ほんとうにむかしみたいにキレイにもどるのか……? るりは怖がらない……? るりの部屋を汚さずにすむ……? またるりと暮らせる……?』
「もちろん戻るし、お姉さまとも暮らせるよ。心配しないで、キーちゃんはウソをつかない。それにとっても優しいんだ。ボクもね……いつも助けてもらってる。だからボク達と一緒に行こう。絶対にお姉さまに会わせてあげるからね」
嵐さんは言いながら、超高速で印を結びはじめた。
ほどなくして、手の中に電気で構築した小さな花を出現させた。
色はオレンジ、その花をチビクマの胸に飾る。
『オレンジ頭……なんだこれは。オレは男だぞ、花なんて……花なんて……いや………花か………昔……るりもよく部屋に飾っていたな……懐かしいよ……アリガトな、』
「うん」
優しく答えた嵐さんを、社長とジャッキーさんが視つめていた。
そして、
『ジャッキー、帰るか』
『そうね。帰って一杯やりますか』
屈強な男達は楽しそうな笑顔で嵐さんの中に消えていく。
さあ、僕達も行こう。
まずは斎藤様の元へ。
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