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『リーダーって、あの変なしゃべり方のヤツか。ア、アイツ、変だよな! だって……オレの縫いぐるみを平気で持ってたよ。そのせいで服が泥だらけになったのに、すごい楽しそうに笑ってた。あと……あとさ、アイツ、オレをキレイにするって……なぁ、それ本当に本当かな、』
探るように、ちょっとだけオドオドしながらチビクマが聞いた。
不安なんだろうな、人の優しさと人の恐ろしさの両方を知っているからこそ、手放しに喜べないのだろう。
安心させてやりたいな、キーマンさんはウソをつかない。
彼は幼い頃、近所の子供達と容姿が少し異なるからといじめを受けていた。
だから傷付けられたり、裏切られたりする悲しみを、誰よりも知ってる人なんだ。
「本当だよ。キーマンさんは器用なんだ……てか、器用の域を超えている。それにね、チビクマみたいな可愛い子が大好きだし。期待していいと思うよ。完全復活出来るから」
僕はキーマンさんの作ったミリタリープリンセスシリーズを思い出していた。
あの完成度は神の領域。
下手すりゃチビクマ、オリジナルをこえたハンパない仕上がりになっちゃうよ。
お姉さまが見ても違和感がないように、今のチビクマの容姿を事細かに伝えなくっちゃ。
『…………そうか、なら期待しよう。キレイになったら……会えるんだな。オレは……るりが大好きだ。いつも笑っていつも優しい。だけどたまに泣くんだよ。オレを抱きしめて声を殺してな。だから傍にいたい。可愛がってもらいたいだけじゃないんだ。るりが泣いてたら慰めてやりたいよ」
「うん」
『…………そうだ、オレはずっと諦めていた。るりに逢いたいけど、そんな事は夢のまた夢だと。だけど……オマエ達が来た。オマエ達はオレをキレイにしてるりに逢わせてくれると言う。オレにとって救世主だよ。……その救世主に会わせてくれたのは…………みどりなんだよな、……フン、もういいや、これでチャラだ。るりと逢える未来があるのなら、オレは前を向く』
「うん」
チビクマはポムッと僕の膝から降りると、テテテと斎藤様の近くに寄った。
そしてしばらく疲れた顔を覗き込み、やがて僕に振り返りこう言った。
『オマエ……いや、岡村。みどりに伝えてくれ。長い付き合いだったがこれでサヨナラだって』
あ……初めて名前で呼んでくれた。
嬉しいなぁ、名前で呼んでくれた事も、前を向くと言ってくれた事も。
「うん、わかった。伝えるよ」
ありがとう、そう言ったチビクマは、小さな縫いぐるみで胸を張り、顔を上げた。
あのボタンの可愛い目は、きっと幸せな未来を視ているのだろうな。
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