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「鍵さん、岡村さん、深渡瀬さん。本当にありがとうございました。これ……よかったら帰りの車で召し上がってください」
お見送りに来てくださった斎藤様は、そう言って大きな紙袋を渡してくれた。
受け取った瞬間、おなかが鳴るほどおいしそうな匂いがして、それがお弁当なのだとわかった。
「ワオッ! サンクス! こいつは最高のドライブになりそうだぜ!」
とキーマンさん。
僕も嵐さんもお礼を言いつつ、二階の窓から「バイバーイ!」と手を振りまくる双子ちゃん達に「バイバーイ!」と返した。
「ご、ごめんなさいねぇ。最後まで双子が騒がしくって」
恐縮する斎藤様だが、その顔は曇りが取れたように見える。
ああ……斎藤様は解放されたんだな。
チビクマは……100パー納得とまではいかないだろうけど、
『なぁなぁ! みどりの挨拶なんてそのくらいにして早く行こうよー!』
とはしゃいでる。
「姉にはさっき連絡しました。すぐにでも待ち合わせしたいそうです。それで姉に鍵さんの連絡先を教えてもいいでしょうか?」
あ、もう連絡とってくれたんだ。
お姉さまもチビクマに会いたがってるみたいだし良かった。
「オフコース! プリティベアーをビュリフォーベアーにチェンジしたら、シスターのところまで送る。それまでいい子で待っててもらおうか」
グッと親指を立てたキーマンさんが歯を見せて笑う。
その後ろではチビクマが『はーやーくー』と大騒ぎだ、落ち着けクマ太郎。
「ありがとうございます。あの……鍵さん、ルミの事、どうぞよろしくお願いします。キレイにしてあげてください」
ペコっと頭を下げる斎藤様だが、”ルミ”って……もしかして、チビクマの事?
「あの! 斎藤様、”ルミ”ちゃんってクマの名前ですか?」
気になって聞いてみる、と。
「そうです。るりの”ル”とみどりの”ミ”で”ルミ”。るりが付けた名前です」
へぇ~可愛い名前じゃない。
聞いた僕達三人と猫又とで、揃ってチビクマを視ると、
『みどり! 余計なコト言うな! オレ、男なのに女みたいな名前でちょっと恥ずかしいんだよ、……なんだオマエら……なに笑ってる!』
とテレテレだ。
ふふふ、可愛いな。
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