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「あは、あはは、岡村さん落ち着いて。岡村さんちにも行きたいけど、最初はボクんちに来てよ。ハードもそうだけど、ソフトいっぱいあるから。それで……キーちゃんも呼んで、みんなで会いたいな。……あと……ごめんなさい。一緒に住むのはちょっと……」
助手席で申し訳なさそうな顔をする嵐さん、や、ごめ、ちがっ!
「ゴメンねっ! 先走りすぎたよね! って一緒に住むとか違うから! ちょっと嬉しくてテンパッただけ! お願い、キモイとか思わないで!」
「……ぷっ! あはは、そんなコト思わないよ。……ふふ、先代の言った通りだ。あのね、先代が言ってたの。岡村くんならすぐに仲良くなれますよって。あの子は不思議な子、彼が相手だと自然とたくさん話せるんです。引き出し方かうまいのよって。本当かなぁ、ボクだし無理だよ……って思ってた。だけどいっぱい話せた。キーちゃんのコントロールベースのおかげもあるけど、打ち解け最短記録だと思う。……だけど、まだ二人っきりで会うのは緊張するから……だからキーちゃんも一緒に……それでもいい?」
「あ……うん、もちろん」
先代、そんな事言ってくれたんだ。
ありがたいな、先代がそうやって嵐さんを安心させてあげたから、今こうして仲良くなれたんだ……嬉しいよ。
「ザッツ グレーーーートッ! ドミニク! チェリーボーイ! ネクストはプライベートでスリーマンセルだ! 近々、ルミをシスターに送り届ける時にトギャザーしよう!」
運転席からキーマンさんの弾む声がした、その終わりに重なるように『るーり! るーり!』とお姉さまコールが鳴りやまない。
もぉ、うるさっ!
あはは、なんだか楽しいなぁ。
あ、そういえば、二つばっかし分からない事があるんだ。
「ねぇ、ルミちゃん。あのさ、ここ最近、斎藤様に頻繁に会いに行ってたんだよね?」
『るーり! るー……、ん? ああ、そだよ。霊力が底を尽きそうだったから出来るだけ脅しておきたくて頑張ったんだ!』
「や……そんなトコ頑張らなくても……ま、いいや。それでさ、その時『モウスコシダ、アト少シデ邪魔モノガイナクナル、タノシミニシテロ』って言ったんだよね? あと、斎藤様がこうとも言ってた。クマに襲われても小さな光が現れて斎藤様を守ってくれたって。その邪魔者って誰だったの? やっぱりご先祖様?」
僕がそう聞くとルミちゃんはポカンとした後、思い出したように言ったんだ。
『邪魔者……ね、あ! オレ言った! ……んーと、あれはハッタリだよ』
テヘ♪みたいに小首を傾げて答えるルミちゃんは、さらに続けた。
『いやぁ、いくらみどりが嫌いでも、るりの妹だろ? ケガをさせる訳にはいかない。そんな事をしたらるりに嫌われる。かといって、口で脅してるだけじゃ、そのうち慣れちゃうと思ってさ。襲った時に小さな光に邪魔されて、それ以上襲わずに退散したのは……ギリギリ感を演出する自作自演だ! あと、邪魔者がいなくなるって言ったのも同じく自作自演! だって、オレ、近いうちに消滅しそうだったから……ああ言っとけば、オレが出なくなってもしばらく怖がってくれるかなぁって。頭イイだろ!』
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