第十九章 霊媒師 入籍

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だ、誰だろな……キーマンさんかな……? 社長は”まだ来ないだろ“ と言っていたけど、そんなのわからない。 聞こえてくる足音は社長のとはぜんぜん違う、廊下に響くような、木琴の低い音のような、そんな音。 それはとてもリズミカルだった。 そして足音に紛れ「○※イァ▲ッ!」よく聞き取れないけど、なにか……叫んでるような声もする。 考えるのはほんの少し。 だって、そんな時間はなかったの。 正面玄関から伸びる廊下は長くない。 とうとう足音の主は、事務所の中へとやってきた。 「グッモーーーニーーーン! ヘイヘイ、ボス! ローング タイム ノン シー(久しぶり)だ! まったくアンリーズナブル(無茶)なコトを言いやがる! 現場のハシゴだぜ? トキオタウンからA県、そこからF県までGotoして、ジャストナウ、やっとカンバックだ! そうそう、土産にアッポースィーツを買ってきたから、みんなでトギャザーイーツ…………ワァオ……ヒュー……俺とした事が……こんなにキュート&ビュリフォーガールが目の前なのに気が付かず、ロンリートークをかましちまった……Nice to meet you(はじめまして)、バービードール、」 …… ………… ……………… なにが起きてるのかな……? なにを話されているのかよくわからない、 えっと……こちらの方は……もしかして…… 「ヘイ、バービードール。どうした? 緊張してるのか? リラックスだ。俺の名前は智哉、鍵智哉(かぎ ともや)だ。すべての事件の“鍵”を握る男、キーマンと覚えてくれ」 …… ………… ……………… んと……………… 「は、はい」 この方がキーマンさん……そ、そっか。 緊張とかそういうんじゃなくて、そんなのは吹き飛んでしまって、私はただポカンとするしかなかったの。 ん……悪い人ではなさそう。
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