第十九章 霊媒師 入籍

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途方に暮れる私に、キーマンさんは笑いながら言ったの。 「Don't worry(心配するな)。俺の精算はたいていこうだ。今までの事務担がどう処理するのか、ずっと見てきたんだ。やり方は覚えてる。リリィは? ハイスクールの頃は何かバイトをしてたのか? こういうマネーを取り扱うバイトをしてたなら似たようなもんだと思うんだが」 「それが……私、アルバイトをしたコトがないんです。私の田舎はあんまりお店もなくて……ごめんなさい」 たまに、アルバイトっぽいコトはしたけど……近所の畑の収穫とか、爺ちゃんと山に入ってお手伝いとか、そんな感じのばっかりで、事務の仕事にはまるっきり関係がない。 「そうか。となると事務仕事は完全に初めてか。心配ない、俺が教えてやる。いいか、交通費立替の精算は(ゴソゴソ)、まずは領収証のある分から処理をしよう。これを添付して、そこの引き出しに入ってる……そう、その書類に記入する。それで合計金額をリリィが計算して、後ろの金庫に入っている小口現金から金を出すんだ……そう、それだ、イエッス! パーフェクトじゃないか、ベイビィ!」 わぁ……まずは一件分だけど……出来た……! キーマンさんに助けてもらいながらだけど、ちゃんと出来たよ! そうか、たくさんあってパニックになったけど、難しく考えるコトはないんだ! 教えてくれたこの作業をあと、12件分すればいいんだもの! 領収書は全部はないって言ってたけど大丈夫。 キーマンさんが書いてくれたメモがあるもん。 私はそのメモを受け取って、さっそくネットで検索をした。 ネットは便利だ、メモ通りに入力していけばどの区間にいくらかかったかスグに分かる。 わぁ、わぁ、すごい! すごいよ! 私が処理をしてるんだ! キーマンさんの交通費、座学じゃない、本物の精算で本物の仕事だ(・・・・・・・・・・・・)……! 嬉しくてたまらなくて、書類とモニターを何度も見ながら、夢中になって書き込みと打ち込みをしていたら…… 「おぅ、キーマン! 久しぶりの出社だな!」 きゃあ! 大好きな社長の声が突然聞こえて、胸はドキドキどころかバクバクし始めた。 あ……見れば社長も岡村さんも先代もいる。 いつの間に戻ってきたんだろう。 私は一つの事に集中すると他が見えなくなってしまう。 社長は嬉しそうにキーマンさんに話しかけ、その後ろではポカーンと固まる岡村さんがいた。 ふはは! ワカル!  キーマンさんと会ってすぐだとそうなっちゃうよね。 楽しみだな、岡村さんもすぐにキーマンさんを好きになるはずだもん。 それと……帰りの車の中も楽しみ。 時間足りるかな? 今日の私は話したいコトがいっぱいあるの! ★このシーンがリンクのシーンと重なっています(*´з`) https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=358&preview=1
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