第十九章 霊媒師 入籍

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覗いた先、女子更衣室の中はグチャグチャだった。 テーブルが明後日の方向に追いやられ、窓のブラインドは崩れてる。 壁掛け時計は下に転がり、クッションは破れて中身が飛び出ていた。 お菓子は散らばり、それから誰かのお酒もバラバラに倒れてるよ。 まるで部屋の中を台風が通ったあとみたい。 しかも……どうして女子更衣室に社長と岡村さんがいるの……? とりあえず……声を掛けてみようかな。 「あの……おはようございます、これ一体なにがあったんですか?」 開けっ放しにのドアに立ち、もう一歩踏み出して中を見て唖然としてしまう。 本当に何があったんだろ。 社長と岡村さんともう一人、女性の方がいる。 あの方が小野坂さんだろうか。 何も言えずに立ったままでいると、社長が声を掛けてくれた。 「おぅ、ユリおはよう。(わり)いな、野郎が女子更衣室にいて驚いたろ? すぐ出てくからな」 いえ、大丈夫です、そう答えようと口を開きかけた時、傍にいた岡村さんが両手を合わせて私に言ったの。 「ユリちゃん、ごめんね。僕らすぐに出るから! 女子更衣室に入ったのには訳があってね。それにこんなに散らかしてごめん!」 「訳があるんですよね? 大丈夫ですよ、部屋の中も私が片付けておくから心配しないでください」 そう答えたけど、確かに驚いた。 部屋の様子も、女子更衣室に男性二人がいる事も。 だけど……それ以上に小野坂さんが気になって仕方なかったの。 この方が……菅野さんに酷い事をしたんだ。 正直、腹が立った。 あんなに良い人を襲うなんてあり得ないと。 でも、小野坂さんから事情を聞いていない段階で、あれやこれや思うのは良くない事で、私は怒りをグッとおなかにしまい込んだんだ。 社長は、はぁっと小さくため息をついた後、 「ミューズ、エイミー、下の事務室行くぞ。そこでちょっと話そうや。それからユリは更衣室(ここ)の片付け頼むわ。片付けるのは始業時間過ぎてからでいいからな。終わったら事務室に来てくれ」 そう言って更衣室を出て行った。 そのあとを岡村さんと小野坂さんが追っていく。 残された私は、社長と同じく小さくため息をついた。 片付けるのはぜんぜん構わない。 ただ、この惨状はきっと小野坂さんに関係する事なのだろう。 社長が8時半ギリギリに来い、と言った意味がわかった気がした。 それに加えて菅野さんの件もある。 うまく……付き合っていけるかな、 自信……ないな。 ★ エイミー視点の女子更衣室のシーンがココです(*´з`) https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=413&preview=1
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