第十九章 霊媒師 入籍

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____ユリさんって、さっき更衣室に来た女の子ですか? ____初めて見る顔ですが、新しい霊媒師でしょうか? ち、違います、 私は事務担当で、霊媒師さんではないです、 心の中で返事をしたけど、私は気配を消し続けていた。 だって、なんか……ん。 コソコソモタモタしていると、それに答える社長の声が聞こえたの。 「ああ、ミューズはユリと会うの初めだよな。ユリは新しく入った事務員だよ。なんだよ、ミューズのことだからとっくに知ってるのかと思ってたが」 ミュ、ミューズ……さん? それは小野坂さんの事かな、……あ、でも社長は岡村さんのコトも”エイミー”さんって呼んでるから(確か本当の名前は英海(ひでみ)さんだったはず)、本当の名前は違うのかもしれない。 それより……今ヘンなコト言ってなかった? 小野坂さんがとっくに私の事を知ってるとか、なのに会うのは初めてだとか……意味がよくわからない。 私は後ろめたさも忘れ、ドアの隙間に耳を向けた。 すると再び小野坂さんの声が聞こえてきて…… 「誤解しないでください。私が霊視するのは最低限の事だけです。新しい事務員が来たと知らされていれば霊視(みた)かもしれませんが、常にこの事務所を視張っている訳ではないので、彼女の事は何も知りませんよ」 レイシ……? レイシって、もしかして霊視? 私の事は視てないみたいだけど……小野坂さんって、普段誰かを霊視してるのかな? 社長に聞いたコトがある。 霊視って、その場にいなくても霊力(ちから)でもって視れちゃうん……だよね。 そういう事……しちゃっていいの? やだな……勝手に視られたくないよ。 あ……で、でもな、私も今、みんなを勝手に覗いてる、 うぅ……で、でも、小野坂さんのと私のは事情が少し違うもん、 だ、だけどな、こんなコトしてるの爺ちゃんに知れたら絶対に叱られる。 爺ちゃんならコソコソしない、大声上げて部屋に入るに決まってる。 そんな爺ちゃんは、きっと婆ちゃんに叱られるだろうけど。 声も出せないクセにココロの中はおしゃべりだった。 いろんなコトが頭に浮かんで、私は少し変なテンションだったの。 そう……この後、小野坂さんの話を聞くまでは。 「話を戻しましょう。この会社はよく話が脱線しますから、岡村さんも気が付いたら軌道修正をお願いします。あなたは割と常識人のようですから。  施設育ち____これを言い訳にするつもりはありません。ですが、これまでの環境は私の人格形成に大きな影響を及ぼしました。私はこの世のすべてが嫌いです。店長云々の話の前に少しだけ私の話をしておきましょうか、」 え……? ”施設育ち” って……? もしかして……小野坂さんも家族がいないの……? ★ユリちゃんがコソコソ覗いていた部屋の中がココデス。||д・) ソォーッ… しばらく平行していきます。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=416&preview=1
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