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どうしたらいいのかわからない、頑張る以前の問題だよ。
だって声が出せない。
社長が私を諭せば諭すほど感情が昂るの。
泣かないように唇を強く噛む。
痛みで涙を止めるくらいしか出来ない。
戸惑う気持ちに気付いてくれない社長は、このあと……私が一番気にしている事を言ったんだ。
それは、
「それによ、ユリはまだ18だろ? 俺は34で歳の差が16もあるんだぞ? 今は良くてもユリがやっと30になった時、俺は46。もっと言えば俺が60の還暦ジジィになった時、ユリはまだ44だ。先のことも考えろ、な?」
そんなの……そんなのわかってる。
私が一つ年を取れば、社長も同じように年を取るんだもの、いつまでたっても年の差は埋まらない。
追いつけるなら追いつきたい。
だから頑張ったの、少しでも大人に見られたくて。
着慣れないスーツも、歩きにくいパンプスも、踵が切れても、痛くても、対等になりたいなぁって、恋愛対象に見られたいなって。
踵の靴擦れがジクジクと痛む。
噛んだ唇もヒリヒリするし、届かない想いはズキズキと脈を打つ。
いろんな痛みが止まらなくて、その痛みもはち切れそうに膨らんで、とうとう心の中が満杯を超えた。
感情は昂っているけど、声を出せば泣いちゃうかもしれないけど、そうも言っていられない。
押し出されそうなの。
声が、気持ちが、言いたい事が。
「なんだ? 言いたいことがあるなら、いくらでも聞いてやる。言ってみろ」
社長にこう言われた事で、私の喉がゆっくりと開いていった。
あとは口を開ければ、きっと出てきてくれるはず。
「そんなの、知ってます……!」
あ……言えた、言葉が……出てくれた。
一度出れば後は簡単だった。
気持ちを込めて、伝えたいと強く願って、言葉を発した。
「年のことを言うのはズルイです。どんなに頑張っても変えられないもの。それと私……心細いから社長を好きになったんじゃありません。社長が優しいから、爺ちゃんくらいカッコイイから、そばにいるだけで幸せだから、安心するから……」
____だから好きなんです、
____この気持ちは錯覚なんかじゃない、
本当は、ちゃんと最後まで言うつもりだったのに……言葉が止まってしまった。
驚いてしまって、らしくない社長に、目が釘付けになってしまったからだ。
テーブルの向こう側。
私の目の前に座る社長は……顔も、耳も、首も、真っ赤にさせていた。
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