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泣きながら社長の手指をそっと掴んだ。
優しい人だもの、きっと咎めたりしない。
私は掴んだ指を大事に包み、自分の額にあてて顔を伏せた。
社長は……やっぱり咎めたりしなくって、私に手指を預けたまま、静かな息遣いだけを聞かせてくれた。
社長はすごいなぁ、これだけで私の気持ちを落ち着かせちゃうんだ。
少しの間そうやって、それで、そのあと社長は私にこう言ったの。
「顔隠すな、こっち向け。おまえの気持ちはよくわかった。今度は今の俺の気持ちを聞いてくれ、」
社長の今の気持ち、知りたい、
それがどんな気持ちでも、本当の気持ちが知りたいよ、
緊張で手のひらが熱くなる、私、また泣いちゃうかな……と思っていたその時、
「俺は____っと、ユリ、ちょっとだけ待ってろ。すぐに済むからな」
社長は優しく笑って手を離すと、椅子から立ち上がったの。
テーブルをまわり込み、私の前に立つと背中を向けた。
なに……?
どうしたんだろう……?
訳がわからなくて、私はただ大きな背中を見つめていた。
社長はまるで喧嘩の準備体操のように、ポキポキと指を鳴らし、首も鳴らし始めた。
そしてスゥーーーーっと大きく息を吸って、
「オイィィィィ!! ミューズゥゥ!! それからエイミーも一緒かぁぁ!! おまえらそこで隠れて俺達のこと霊視るだろう!! 今すぐヤメロッ!! でないと後悔することになるからなぁぁっ!!」
耳がビリビリするような大声を出したんだ。
……
…………え?
社長は今なんて言ったの?
小野坂さんと岡村さんが覗いてる……?
私達を?
一体どこから?
だって庭には誰もいない、二人は今事務室に……あ、
あ、……あ、あ、あーーっ!
そうだよ!
あの二人は霊媒師だもん!
霊視くらいお手の物、
というか霊視が出来なきゃ仕事にならない、
それにさっき言ってたじゃない!
小野坂さんは人を勝手に霊視って!
うそ……今の……ぜんぶ視られてたの……?
ぶ、ぶにゃは、ぶにゃははは……、
ダメ、恥ずかしくって倒れそうだよーーっ!
★このあと水渦とエイミーは社長にこっぴどく怒られます。
そのシーンがこちらです(*‘ω‘ *)
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=438&preview=1
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