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「マ、マコちゃん落ち着いて。私なんかじゃ霊媒師さんにはなれないよ。それにもし……なれたとしてもならない。私は事務の仕事を頑張るの。マコちゃんが安心して現場に行けるように、たくさんの仕事を抱えなくていいように。
そのうちの一つ、会社の結界。私一人じゃ霊力不足で張れないけど、マコちゃんの霊力を借りれば、」
ペンダントから手を離す。
視ればあの日のように、両手は赤く光っていた。
どうしてこんなコトが出来るのか、いまだはっきりわからない。
ただ、霊力を取り出せるのはマコちゃんのだけなんだ。
ためしにと、岡村さんと先代と嵐さんにお願いして、それぞれの霊力を水晶に入れたけど、結局誰の霊力も取り出す事は出来なかった。
私も含め、みんな首を傾げていたけど、途中でマコちゃんが飽きちゃったのと、目をキラキラさせた先代の『こ、これは愛のチカラだよっ、きゃっ!』というお言葉で、なんとなく納得しちゃったんだ。
ふはは、そんなんでいいのかなって思ったけど、もし本当に愛のチカラならいいなぁって、嬉しいなぁって。
マコちゃんの役に立ちたい、助けになりたい。
二か月前、結界を張れるようになってくれと言われてから、ずっとそう願ってた……ペンダントだけあってもだめ、私ひとりじゃもっとだめ。
でもね、一人じゃ無理でも、二人なら出来るんだから。
すうっと鼻から息を吸う。
ふぅっと口からそれを吐く。
ヘンな焦りはない、慌てたりもしていない。
今日で5回目。
最初はうまく出来なかった。
半分流し込んだところで、霊力に負けて弾かれて、尻もちをついたんだ。
だけど回を重ねるごとに、そういうのが減ってきた。
失敗したって怒られない。
そんなコトで怒る人じゃない。
何度だって挑戦させてくれるんだ。
私は植物結界の起点にしゃがみ、両方の手のひらを地面につけた。
振り向けばマコちゃんがそばにいて、「気楽にやれや」と笑ってる。
うん、と頷き見上げれば、蔦が風に揺れていた。
「今、あげるからね」
言葉にすれば自然と流れが生まれてくれる。
手に溜めた大きな霊力は、私の中を通り抜け、蔦に向かって走り出した。
で……出来た……かな……?
時間にしたらほんの数分。
水晶から取り出したマコちゃんの霊力は、すべて蔦に流し込んだ。
今日は霊力に負けなかった。
弾かれず、尻もちもつかず、最後まで流しきったと思う。
「マコちゃん、終わったよ。今日はたぶん大丈夫だと思うけど……チェックして、届いてない所があったら補充してください」
立ち上がり振り向いて、マコちゃん先生に採点をお願いすると「わかった、」と言って、蔦をゆっくり見てまわる。
私はその間に手を洗い、ドキドキしながら結果を待っていた。
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