2371人が本棚に入れています
本棚に追加
グルリと建物を一周し、戻ってきたマコちゃんは、私の頭をワシャワシャと撫ぜてくれた。
だ、だけど、これに騙されてはいけない。
マコちゃんは失敗しても、うまくいっても、「よく頑張ったな」って頭を撫ぜるんだもん。
「ど、どうだった……? やっぱりどこか穴開いてた……?」
緊張する……失敗したって怒られないけど、早く結界張れるようになりたいもん。
その思いの分だけ緊張しちゃうんだ。
マコちゃんは「んー」ともったいぶって中々結果を教えてくれない。
これもいつものコト。
こんな時、すごく楽しそうに、イタズラっ子みたいに笑うの。
「ユリ、おまえ頑張ったなぁ」
「う、うん、それで? それでどうだった?」
「ん、あのな……今日の結界は…………」
「……結界は……?」
「完璧だっ! ぜんぶ視て回ったけど、穴が開いてるトコはどこもなかった。俺が張ったのかと思うくらい完璧だ!」
「ほんとっ!? ……やった……やったーーーっ!」
嬉しい! すごく嬉しい!
結界、絶対に張れるようになるんだって、会社だけじゃない、家でもこっそり練習してたんだもん。
嬉しすぎてはしゃいでしまう。
「マコちゃん、嬉しい! でもね、これはマコちゃんのおかげなんだよ。霊力をかしてくれるから、何度も教えてくれるから。私一人じゃ出来ないもん」
嬉しくて感謝して「ありがと」を言ったら、同じくらい嬉しそうにするマコちゃんは、私の手を取り指を絡めてくれたんだ。
「ユリ、ありがとな。よく頑張ったな。本当におまえスゲェよ。でもよ、その分努力してたもんな。家でもこっそり練習してたもんな」
涼しい顔のマコちゃんは優しい目で私を見つめる……だけど、だけど、
「マ、マコちゃん、知ってたの? 内緒にしてたのに……」
「ははっ! そりゃわかるさ。俺はおまえばっかり見てるからよ」
…………!
「わ、私ばっかり……見てる……? うぅ……また、不意打ちだよぉ」
だから、不意打ち、ダメ、たおれちゃう、
もう……
甘い言葉にめまいがしそう、
体温が一気に上がる、
手のひらに汗をかく、
耳までジンジン熱くなる、
好き……大好き。
一緒にいれば楽しくて、一緒にいれば頑張れて、一緒にいれば幸せになる。
笑い合って、助け合って、ドキドキして、そしてまた笑うんだ。
出逢えて良かった、気持ちを伝えて良かった。
マコちゃんの命は私のもの、
私の命もマコちゃんのもの、
二人の魂も二人のもの、
ずっと一緒に歩いてく、
生きている間もその後も、
ずっとずっと永遠に。
霊媒師 入籍__了
最初のコメントを投稿しよう!