第十九章 霊媒師 入籍

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グルリと建物を一周し、戻ってきたマコちゃんは、私の頭をワシャワシャと撫ぜてくれた。 だ、だけど、これに騙されてはいけない。 マコちゃんは失敗しても、うまくいっても、「よく頑張ったな」って頭を撫ぜるんだもん。 「ど、どうだった……? やっぱりどこか穴開いてた……?」 緊張する……失敗したって怒られないけど、早く結界張れるようになりたいもん。 その思いの分だけ緊張しちゃうんだ。 マコちゃんは「んー」ともったいぶって中々結果を教えてくれない。 これもいつものコト。 こんな時、すごく楽しそうに、イタズラっ子みたいに笑うの。 「ユリ、おまえ頑張ったなぁ」 「う、うん、それで? それでどうだった?」 「ん、あのな……今日の結界は…………」 「……結界は……?」 「完璧だっ! ぜんぶ視て回ったけど、穴が開いてるトコはどこもなかった。俺が張ったのかと思うくらい完璧だ!」 「ほんとっ!? ……やった……やったーーーっ!」 嬉しい! すごく嬉しい!  結界、絶対に張れるようになるんだって、会社だけじゃない、家でもこっそり練習してたんだもん。 嬉しすぎてはしゃいでしまう。 「マコちゃん、嬉しい! でもね、これはマコちゃんのおかげなんだよ。霊力(ちから)をかしてくれるから、何度も教えてくれるから。私一人じゃ出来ないもん」 嬉しくて感謝して「ありがと」を言ったら、同じくらい嬉しそうにするマコちゃんは、私の手を取り指を絡めてくれたんだ。 「ユリ、ありがとな。よく頑張ったな。本当におまえスゲェよ。でもよ、その分努力してたもんな。家でもこっそり練習してたもんな」 涼しい顔のマコちゃんは優しい目で私を見つめる……だけど、だけど、 「マ、マコちゃん、知ってたの? 内緒にしてたのに……」 「ははっ! そりゃわかるさ。俺はおまえばっかり見てるからよ」 …………! 「わ、私ばっかり……見てる……? うぅ……また、不意打ちだよぉ」 だから、不意打ち、ダメ、たおれちゃう、 もう…… 甘い言葉にめまいがしそう、 体温が一気に上がる、 手のひらに汗をかく、 耳までジンジン熱くなる、 好き……大好き。 一緒にいれば楽しくて、一緒にいれば頑張れて、一緒にいれば幸せになる。 笑い合って、助け合って、ドキドキして、そしてまた笑うんだ。 出逢えて良かった、気持ちを伝えて良かった。 マコちゃんの命は私のもの、 私の命もマコちゃんのもの、 二人の魂も二人のもの、 ずっと一緒に歩いてく、 生きている間もその後も、 ずっとずっと永遠に。 霊媒師 入籍__了 fb5b221d-71b9-47f5-854a-1b37a178a83a
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