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シェルターというのは大袈裟だとしても、何か事情はあるのだろうな。
失礼にならないよう気を付けながら観察すれば、肌の色は白いものの不健康といった感じではない。
僕より少し背が低く、僕と似たり寄ったりの細い体型。
クセのない真っ直ぐな黒髪、その黒髪と同じ色の瞳は角度によって濃紺にも見える。
整った顔立ちは憂いを含むが悲壮感はない、……よって、緊急性や事件性は感じないんだけど……
なんだか引っかかる。
聞いてみようかな。
なにか事情があるんじゃないの?
久しぶりの太陽で気分が悪くなったりしないの?
って。
だけどな、いきなりそんなコトを聞いたら、大きなお世話かな。
キレイな子だし、実はモデルさんで、日焼けにめちゃくちゃ気を付けてるのかも。
や、でも、もしそうなら日傘も帽子も無しにココにいないよね。
そもそも何も持っていない、カバンも、スマホも。
謎が多いな……もう少し話して様子を見るか。
とは言うものの、初対面の、しかも10は年下かと思われる若者に何を話していいかが、やっぱりわからない。
このまま黙っているのもなんだし、抱いてしまった疑問をマイルドに聞いてみた。
「雨だけじゃなくて、太陽の光も久しぶりなんですか……?」
失礼ですがどういったご事情で?
と、続けたいのを一旦我慢した。
なんたって初対面、会ってまだ間がなさすぎ。
ズカズカ行かずに少しずつ聞いた方がいいだろう。
「はい、久しぶりです。雨も、太陽も、風も、なにもかも。……そうですねぇ、最後に目で見て、身体で感じたのは……11年前が最後、です」
じゅ、じゅ、11年前が最後……?
しかも雨と太陽だけじゃなかった。
風もなにもかも……?
え、ちょ、どうしよ、言ってる意味がわからないよ。
この11年、どこでどんな生活をしていたの?
太陽の光が届かない場所ってどこ?
てかあるの?
そこがどこだか知らないけど、だからそんなに色が白いの?
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