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『……平ちゃんだけだった、私に話しかけてくれたのは。皆はそれに驚いて、中には「奴と関りを持てば立場が悪くなるぞ」と忠告する者もいた。正直……私もその通りだと思ったよ。一族の長には憎まれる程嫌われていたんだ。話をしている所を見られでもしたら叱責を受け、下手をすれば”瀬山”から追い出されてしまう』
酷い話だな……先代からある程度は聞いていたけど、そんなのまるでイジメじゃないか。
誰が誰と話そうが本来自由なはずなのに。
『ねぇ、岡村さん。私と関わらない方が良いと忠告された平ちゃんは、一体なんて答えたと思う?』
「え……なんだろう。先代が言いそうなコト……そうですね、きっとプリプリしながら『私が誰と話そうと勝手でしょ(ぷい!)』でしょうか? けっこう言いたい事をはっきり言うタイプですからねぇ」
『んー惜しい、七割正解。……ごめん、この問題は少々難しかったかもしれないね。岡村さんは今の平ちゃんしか知らないんだもの。残り三割の答え。ヒント、あった方がいい? それとももう答えを言おうか?』
ん? んー?
問題? ヒント?
もしかして……僕は今、瀬山さんにクイズを出されているのかな?
えっと……な、なんだろう、この激しい既視感。
話の途中でクイズを出すのって、先代もよくやるよねぇ。
それって瀬山さんもなの?(てか、イメージ……!)
と、とりあえず、伝説の霊媒師はクイズが好きかも疑惑が出たところで、それならこう答えるのがベストじゃないか? な、返事をしたんだ。
「七割しか合ってなかったのか……くやしいなぁ。でも残りの三割は考えてもわからないと思います。答え、教えていただけないですか?」
先代ならこのセリフでイチコロだ。
僕がクイズに答えられないほど喜ぶ人だからな。
てか、まぁ、わからないのは本当なんだけど。
『そ、そう? 少し難しかった? ごめんね、イジワルしたんじゃないんだよ。七割の正解でも大したものだと思います(ふふふ……)』
あら……やだ、瀬山さん。
困った顔をしてるけど、その反面なんだかちょっと嬉しそう。
どっちがどっちの影響を受けたのかはわからないけど、瀬山さんと先代って似てるのかもしれないな。
とりあえず、立ち話もなんですからと、会社の庭のウッドテーブルへと移動した。
そこで二人は向かいで座り、落ち着いたところで先代がなんて答えたのかを聞いたんだ。
『平ちゃんはね、』
関りを持てば立場が悪くなる?
そんなの知るかよ。
”瀬山”なんて俺にとって踏み台だ。
ここで霊力をつけたらコッチから捨ててやる。
俺はな、いつか社長になるんだよ。
誰かに使われるなんて性に合わない、俺が誰かを使うんだ。
その為にはこの人の技術がほしい。
なりふりなんか構ってられるか。
俺より霊力があるのはこの人だけだ。
話す価値がある、欲しい霊力を持っている。
誰になんと思われようと、俺は俺の好きにする。
ああ、そうだ。
おまえ、もう俺に話しかけるな。
おまえは持っていないだろう?
俺が欲する強い霊力を。
時間を無駄にしたくない____
『こう……言っちゃったんだ』
ふふふ、と思い出し笑いをする瀬山さん。
僕はと言えば……今の先代とあまりに違った発言に、開いた口がリアルに閉まらずにいた。
てか若い頃の先代、一人称が【俺】なんだ……えぇ!?
クイズの答え。
残り三割の難易度の高さと言ったらない。
本気で考えても絶対あたらなかったわ。
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