第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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『平ちゃん、若い頃の話は内緒だったの? ご、ごめんね、知らないからちょっとしゃべっちゃった』 白い肌を赤く染めた瀬山さんは、両手を合わせて先代に謝っている。 謝られた先代は、ぷくーっと頬を膨らませてこう言った。 『しゃべっちゃった分は仕方ないよ。昨日、ちゃんと言っておけば良かったんだ。会えたのが嬉しくて言うのを忘れた私が悪い』 若干の落ち着きを取り戻した先代は、眉毛を下げて首を振る。 そして二人は目を合わせ、どちらからともなくふにゃりと笑った。 わぁ、もう仲直りだよ(そもそも喧嘩になってないけど)。 いいなぁ、このコンビ。 視てるとなんだかホワンとしてくる。 でもね、ホワン以上にモヤモヤもしてるんだ。 だって……ねぇ。 「あのっ、先代! ……ですよね?」 一重の切れ長、黙っていればクール系イケメンに声を掛けると。 『うん、私だよ、持丸。ふふふ……岡村くん、びっくりした? いきなり瀬山さんが訪ねてくるわ、私はこの姿だわ……キミには何も話してなかったものねぇ……ふふふふふ。驚かそうと思って内緒にしてたの。ねぇ、こういうの若い子はなんて言うんだっけ? えっと、ほら、アレ、アレですよ、アレ。んと……思い出したっ! サプラーイズ!』 しゃべり始めた途端、先代の”カワイイ”が全開になる。 サプラーイズ! とはしゃぐ顔は、なるほど。 なんとなしに78才の面影が……あるようなないような(どっちだ?)。 「びっくりしたなんてモンじゃないですよ。どうしたんですか、どこをどう視たって十代です。それは瀬山さんもだ。失礼ながら、ご存命なら御年80才でらっしゃいますよね? 最初に聞こうと思ったんだけど……えへへ、それ以上に興味のそそられる話に(主にトンガリエピ)夢中で後回しにしてました。お二人ともどうしてその姿なんです?」 瀬山さんはともかく、78才の先代しか知らない僕は、もう衝撃的でびっくりのアワアワなのだ(しかもイケメンだし)。 僕の質問に先代と瀬山さんは、顔を見合わせしばしの沈黙。 微かに互いに頷き合った次の瞬間、クルっと僕を視た手練れの霊媒師達は口を揃えてこう言った。 『『さてココで問題です。なぜ我々は若い姿なのでしょーかっ!』』 くぅ、そうきたか。 この二人、クイズを出すのが好きだったんだ。 んも、早く理由が知りたいのに。 困った顔の僕を視た先代は、なんだかめちゃくちゃ嬉しそう。 隣の瀬山さんも、笑うのを我慢してるし。 いいでしょう、受けて立ちます。 こうなったらガンガン答えて外しまくって、早いトコ答えを教えてもらいますからねっ!
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