第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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『大福ちゃん、今回はありがとうねぇ』 僕に抱っこされる猫又を、クールなイケメンが撫でまわす。 うわぁ……この人ホントに先代なのか……? 近くで視るとますますカッコいいのだ。 鋭い目つきはスナイパーを思わせる、なのにしゃべるといつもの先代。 なんなのこのギャップ萌えは、……って、”大福ちゃんありがとう”ってどういう意味? そういや先代は、どうしても大福の妖力(ちから)が必要で……って言ってたよな。 この若返りと関係がある? よし、聞いてみよう。 「先代は大福になにをお願いしたんです? 若返り関連的なものですか?」 『うん、そうなの。霊体(からだ)の再構築なら、私一人でも出来るんだけど、なんたって今回は再構築だけじゃない。若返った姿を保ったまま、ふんだんに霊力(ちから)を使わなくてなならないでしょう?』 ん……?  ん、ふんだんに霊力(ちから)を使うの……? なんの為に? 『若い霊体(からだ)で、お茶でも飲んでおしゃべりするだけならね、私の霊力(ちから)だけで十分足りるんだけど、霊力(ちから)を使って戦って、なおかつ、数日間ぶっ通しで若い霊体(からだ)を保たなくちゃならないとなると……ふふふ、ちょっと足りないかもなぁって』 ん? ん? ん? 霊力(ちから)を使って戦う?  数日間ぶっ通し? ちょ、なに言ってるかわからないんですけど。 『それで大福ちゃんにお願いしたの。足りなくなりそうな霊力(ちから)を、大福ちゃんの妖力(ちから)で補ってって。大福ちゃんはすごいよねぇ。霊力じゃなくて妖力だからさぁ、チカラの強さが桁違いだもの。しかも昨日、尻尾が一本増えたじゃない。三尾の猫又なんて、そりゃあもう、とんでもない妖力(ちから)に、』 「えっ! ちょっと待って! 話の途中でごめんなさい! 今、大福の尻尾が増えたって言いました? ハニー、ちょっとオシリ視せてね!」 先代のお話にイマイチついていけない僕だったけど、大福の尻尾が増えたってのはわかった! てか、ぜんぜん気付かなかった! ただでさえカワイイ尻尾が一本増えたって、大ニュースじゃないの! 抱っこの猫又を腕の中で半回転。 目の前にキュートなオシリがくるように抱きなおすと…… 「わぁっ! ホントだ! 尻尾が……尻尾が三本になってるーーーっ!」 しかも今回、三本の尻尾はオシリの根元からちゃんとわかれていたんだ。 今までの二尾はオシリからは一本で、途中、Yの字に裂ける形だったのにっ! 「大福……すごいよ……このお得感! フッサーな尻尾が三本も! フッサーが三倍! 通常の三倍!」 『うなぁ? うなぁん』 目の前には揺れる三尾、カワイイお顔は視えないけど、きっと今、大福は得意な顔をしてるに違いない。
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