第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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____ワァオッ! you! now! インW県!? リアリィ!? キーマンさんの声が弾んでる。 明らかにワクテカだ。 そりゃそうか、現場でもないのにナゼそこに!? ってなるわな。 なもんで、どうしてW県に来てるのか、僕は簡単に経緯を説明した。 それからなんとしても霊視を成功させ、先代達に合流しなくちゃならない事も。 ___OKOK、アンダスタン(わかったよ)。チェリーボーイは先代と瀬山さん(レジェンド)がどこにいるか知りたいんだな? その為に探知の霊力(ちから)を発動させたいと。イエァッ! まかせろ! But、探知のコツか……これを口頭だけでのプレゼンはベリーディフィカルト(すっごく困難)だ。umm……(ピコーン!)ヘイ! チェリーボーイ! それなら俺が探してやろうか? 霊は視えない俺だけど、気配を探る事はおそらく出来る。しかもW県の山のどこか、そこまでわかっているなら、Easy victory(楽勝)だっ! えっ!? キーマンさんが探してくれるの? うぅ……ほ、本音は是非ともお願いしたい。 頼めばきっと、すぐにでもわかるだろう。 誘惑に負けそうだ……だけど……くぅ……! 「ありがとうございます。でも今回、僕が探さないとダメなんです。これも修行のうちだから」 ____そうか、ソーリー。余計なコトを言ったな。オーライ、なるべくイージー トゥ アンダスタン(わかりやすく)で説明する。なに、NO worries(心配ない)。チェリーボーイなら出来るさ! まず基本的なコトから説明するぞ…… …… ………… ……………… 「突然電話したのに、いっぱい教えてくれてありがとうございます。僕、やってみます」 ____ファイトだ、チェリーボーイ! ”絶対に視付ける”、そう強く念じるんだ。いっぺんに探そうとするな。決めたエクステント(範囲)を小刻みに探るんだ。ノット ヒア(ココじゃない)と思ったらネクスト、ネクストアゲインで潰していけ。トライしてどうしてもノーグー(ダメ)なら、また俺にテレフォンしろ。アンダスターン? 「アンダスタンッ! 本当にありがとうございます、あ、ダメダメだったらガチで電話しますから。その時はヨロシクです! じゃっ!」 探知の達人、直々の教え。 これを無駄にしてはならない……が、これがプレッシャーになるかといえばそうではない。 キーマンさんは優しい人なのだ。 やってみてダメならまた電話をしてもいい、そう言ってもらえて気持ちが楽になった。 失敗しても一人で途方に暮れなくて良いってコトだもの。 通話を終えたスマホをポケットにしまい、さっそく霊視をしてみようと思うのだが……ココじゃあマズイ。 N空港、ロータリー。 空港という割に、あたりは閑散としてコンビニすらないのだが、ま、お店は空港内にたくさんあるからね。 買い物には困らない。 あ、そうだ。 霊視に成功したら、先代達のトコに行く前に食料をたっぷり買い込んでいかなくちゃ。 時間無制限の修行だもの。 しかも場所は山の中、一旦入れば買い物は難しい。 先代や瀬山さん、それと大福は幽霊だし飲まず食わずでイケるだろうけど、生者の僕は食事をしなけりゃ倒れてしまう。 ただでさえ霊力(ちから)を使えばおなかが減るしね。 ま、食糧問題はさておいて、どこか目立たない所に移動して霊視をしてみよう。 僕はキョロキョロ周りを伺う、どこかイイトコないかな? 『うなぁん』 とそこに、ウルトラダイナマイトラブリー三尾がキューティーボイスで僕を呼んだ。 「なぁに? どうしたの? おやつ食べたい?」 大福のおやつはいつだって持っている。 さっそくジャケットの内ポケットに手を差し込んだのだが…… 『なな、うなぁ。うなっ!』 大福は背を向けて歩き出し、少し進んでは立ち止まり振り返る。 すぐにわかった。 コッチに来いってコトなんだね? 僕は優雅に揺れる尻尾の後を追った。
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