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大福の誘導で10分程歩いて行くと、そこは寂れた公園だった。
敷地はそう広くない。
遊具は古く、ブランコには【使用禁止】の張り紙は貼られている。
こんな所に公園なんかあったって、誰も利用しないんじゃないかな?
だけど好都合だ。
夕方の時間帯、今から公園に遊びに来ようとする人はいないだろう。
周りに何もないのもあってか、通行人すらいない。
たまに車が行きかうくらいで、誰かに見られる心配はなさそうだ。
「大福、ありがと。よくこんなトコ見つけてくれたね」
お手柄の猫又の顎をくすぐる、すると目を瞑りゴロゴロと喉を鳴らしてくれた。
よし、さっそく霊視にチャレンジだ。
というコトで、僕はまたスマホを取り出し地図アプリを起動する。
現在地であるこの公園を中心に縮尺を変えながら、どの方向に山があるのか洗い出す。
____決めたエクステントを小刻みに探るんだ、
キーマンさんの言葉を思い出し、まずは画面上で範囲を区切る。
正確じゃなくていい、ざっくり方角が分かればいい。
本当に小刻みに、僕は範囲を10のブロックに分けた。
それらを順番に霊視して先代達を探す……どーかうまくいきますように。
だが。
キーマンさんから教えてもらったのは、あくまでも”コツ”だ。
霊媒師と一口に言っても、持ってる霊力はそれぞれ違う。
霊が視えないキーマンさん、霊体に陽炎のような揺らめきが視える社長や水渦さん、すべての霊は白黒に視える弥生さん、頭上に珠が浮かんでいるか否かで霊を視分けるジャッキーさん、そして、生者と死者の区別のつかない僕。
視え方だけでもこんなにも違うのだ。
キーマンさんは探知の霊力を発動させると、甘いスィーツの匂いが漂ってくるという。
同じ探知でも社長はゴハン系、前に聞いたのは探してる最中、回鍋肉の匂いがしたと言っていた。★
霊力は十人十色。
キーマンさんはこう探す、というのを教えてもらっても、その方法で僕が探知出来るかと言ったら分からないのだ。
いろいろ試すしかないのだが、まずは水渦さんから教えてもらった霊視の印を結び、手探りだけど各ブロックを潰していこうと思う。
両手両五指、それを霊視の印で構えをとった……が、……うん、そうだな、その前に、別の印を結ぼうと思い直した。
構えた印を一旦ほどき、新たに構えたのは”増幅の印”。
あんまり先代達を待たせる訳にはいかないだろう?
だったら最初から、霊力全開でいこうかなって。
これを組んで発動させれば、しばらく僕の霊力は通常の三倍だ。
増幅させてから霊視の印を組む。
この印を結ぶのは練習以外で初めてだ。
僕の探知は一体どんなふうに発動するんだろう?
★社長が探し物をしてる時、回鍋肉に匂いがすると言ったシーンがココです。
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=369&preview=1
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