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「……はぁ、はぁ、はぁ……ダメだ……視えない……お腹すいた……」
時刻は19時を少し過ぎた頃。
僕は公園のベンチでへたり込んでいた。
霊視で先代達を視付けようと頑張り始めて2時間以上が経過した。
増幅の印を結び、続けて霊視の印を結び、”絶対に先代達を視付けるんだ”と強く念じながら、10に分けたブロックを繰り返し霊視したのだが……何も視えてこないのだ。
量だけはやたらとある僕だから、霊力の枯渇を心配する必要はない。
なんなら今から無限霊矢だって撃てるだろう。
ただね、ココロが折れそう。
頑張れど成果は得られず、技術不足を痛感する。
僕は質より量の霊媒師なんだと、めちゃくちゃ落ち込む。
はぁ……時間ばっかりが過ぎていくよ。
大福なんて待ちくたびれて、僕の隣で眠ってしまった。
僕を視てもどかしく思ってるんだろうな。
ごめんねぇ、本当は手も口も出したいんだろうに、我慢して見守ってくれてるんだよね。
「はぁ……どうしたらいいんだろう……? とりあえず、やり方の復習をするか……」
探知基本編。
キーマンさんのアドバイスはこうだった。
霊視の印を結に終えた状態で、”絶対に視付けると強く念じる”、または言葉に出す。
次に、各ブロックのある方向に身体を向けて、極限まで精神を集中させる。
その時に、先代達の気配が微かでも掴めれば、なんらかのサインがあるという。
たとえば何かの匂いがするだとか、光が視えるだとか、音が聞こえるだとか。
キーマンさんが感じるサインは甘い匂いと、発する光。
僕が感じるサインがこれと同じとは限らない。
最初は気付きにくいかもしれないから、感覚を研ぎ澄ます必要があると言った。
____サインを掴んだら、そこから目を離すな、
____探したいモノやヒト、
____その気配をコッチから辿っていくんだ、
キーマンさんの場合、掴んだ気配を辿り続け、ある一定の距離まで詰めると、対象物から発する光が視えてくる。
視えればあとは取りにいくだけ。
曰く、”イージージョブ” とのコトだが……ちっともイージーじゃない。
僕はとにかくサインを視付けようと、必死になって印を組み、目の色変えてあたりを視渡し、わんこのごとく鼻をスンスンさせたのだが、匂いもしなけりゃ光もない。
さらに言えば音もないし、それっぽい気配もない、ヤヨちゃんみたいに文字が降ってくるでもない。
なーーーーーんにも変化がないのだ。
こんなん……僕に霊視は無理なんじゃないだろうか?
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