第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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◆ 「……はぁ、はぁ、はぁ……ダメだ……視えない……お腹すいた……」 時刻は19時を少し過ぎた頃。 僕は公園のベンチでへたり込んでいた。 霊視で先代達を視付けようと頑張り始めて2時間以上が経過した。 増幅の印を結び、続けて霊視の印を結び、”絶対に先代達を視付けるんだ”と強く念じながら、10に分けたブロックを繰り返し霊視したのだが……何も視えてこないのだ。 量だけはやたらとある僕だから、霊力(ちから)の枯渇を心配する必要はない。 なんなら今から無限霊矢だって撃てるだろう。 ただね、ココロが折れそう。 頑張れど成果は得られず、技術不足を痛感する。 僕は質より量の霊媒師なんだと、めちゃくちゃ落ち込む。 はぁ……時間ばっかりが過ぎていくよ。 大福なんて待ちくたびれて、僕の隣で眠ってしまった。 僕を視てもどかしく思ってるんだろうな。 ごめんねぇ、本当は手も口も出したいんだろうに、我慢して見守ってくれてるんだよね。 「はぁ……どうしたらいいんだろう……? とりあえず、やり方の復習をするか……」 探知基本編。 キーマンさんのアドバイスはこうだった。 霊視の印を結に終えた状態で、”絶対に視付けると強く念じる”、または言葉に出す。 次に、各ブロックのある方向に身体を向けて、極限まで精神を集中させる。 その時に、先代達の気配が微かでも掴めれば、なんらかのサインがあるという。 たとえば何かの匂いがするだとか、光が視えるだとか、音が聞こえるだとか。 キーマンさんが感じるサインは甘い匂いと、発する光。 僕が感じるサインがこれと同じとは限らない。 最初は気付きにくいかもしれないから、感覚を研ぎ澄ます必要があると言った。 ____サインを掴んだら、そこから目を離すな、 ____探したいモノやヒト、 ____その気配をコッチから辿っていくんだ、 キーマンさんの場合、掴んだ気配を辿り続け、ある一定の距離まで詰めると、対象物から発する光が視えてくる。 視えればあとは取りにいくだけ。 曰く、”イージージョブ” とのコトだが……ちっともイージーじゃない。 僕はとにかくサインを視付けようと、必死になって印を組み、目の色変えてあたりを視渡し、わんこのごとく鼻をスンスンさせたのだが、匂いもしなけりゃ光もない。 さらに言えば音もないし、それっぽい気配もない、ヤヨちゃんみたいに文字が降ってくるでもない。 なーーーーーんにも変化がないのだ。 こんなん……僕に霊視は無理なんじゃないだろうか?
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