第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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霊視なんて無理なのかも……と、落ち込むだけ落ち込んだら、気持ちを切り替えトライアゲイン。 先代と瀬山さんをガッカリさせたくないし、自分自身にもガッカリしたくない。 ファイトだ、僕っ! …… …………だがしかしである。 やる気があっても急にスキルが上がる訳ではない。 更に1時間経過するも、やはりサインは視付からず。 僕はいよいよ追い詰めれていた。 「仕方がない、もう一度キーマンさんに電話しよう」 探知の達人に甘える事にした。 コツは教えてもらった、けどどうやっても出来ないのだ。 数時間で音を上げてゴメンだけど、本気で助けてほしいです。 ポケットからスマホを取り出し、リダイヤル画面を表示させる。 そして、 プルルル…… 1回、2回、3回、4回……10回、11回、12回、13回…… 「ダメだ、出ない」 頼みの綱であるキーマンさんと繋がらず、僕はズーンと落胆する。 でもな、仕方ないよな。 仕事中のキーマンさんが、さっきの電話に出てくれただけでもありがたいのだ。 今は忙しくて出られないのだろう。 着歴があるからそのうちかかってくるかもしれない。 「さて、どうするか……」 キーマンさんの電話がくるまで、ひたすら視えてこない霊視を続けるか、それとも何か別の方法を考えるか……とは言っても、何をどうしていいかわからないんだけどさ。 クソ……気持ちが焦る……落ち着け。 焦って良い事なんてないだろう? いい機会だ、一旦ここで現状を整理しよう。 霊視の印、これは結べる。 工程に間違いはない。 完璧に覚えているし、念のため動画を見直したけどやはり合っていた。 印を結んだ時に霊力反応も出る、なのでココまでの作業に問題はない。 問題なのは僕自身なのだ。 良い眼鏡をかけたというのに、肝心の目が閉じたままで視えるモノも視えてこない……目を閉じてるつもりはないんだけどなぁ。 前に、水渦(みうず)さんと一緒に社長とユリちゃんを覗いた時の事を思い出す。 彼女はシュババババと高速で印を結び、しばし一点を視付めていたと思ったら僕に向かってこう言ったんだ。 ____視覚、聴覚のリンクが確立しました、 と。 はぁ……僕はずっとリンクNGですわ。 同じ印でも霊矢の時は、ぶっつけ本番で発動したんだけどなぁ。 単に霊矢を撃つのと、広い範囲から対象物を探し出すのとじゃあ、全然違うんだろうけど、あの時みたいにうまくいったら良かったのに。 ため息追加。 僕はリュックの中から飲みかけのお茶を取り出しゴクゴクと飲んだ。 ささくれたベンチに座り、なんとなく公園内を見渡す。 「あの時も……公園だったな」 弥生さんとのツーマンセル。 マジョリカさんを口寄せした時、ココよりもっと広いけど、同じく寂れた公園に行ったんだ。 弥生さん、元気かなぁ。
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