第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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「弥生さん! それ詳しく聞いてもいい?」 俄然僕は食いついた。 印 (プラス) ”絶対に視る”という気合 (イコール) 霊視成功!  となるはずが、僕のスキルでは叶わない。 僕がダメすぎなのかと落ち込んだけど、弥生さんでさえスキル習得に一か月かかったというのだ。 それを聞いて少しだけ気が楽になる。 このままずっと出来ないんじゃないかって思ってた。 でもさ、僕でも時間をかければ、コツさえ掴めば、いつかは出来るようになるかもしれない……だけど、残念なコトに今回ゆっくりはしてられないんだ。 新人時代のジャッキーさんが、一週間で霊視を可能にした方法とはどういうものなんだろう? それを教えてもらえたら、あるいは。 ____いいよ。それなら本人から直接聞いた方がいいかな。えへへ、アタシ説明ヘタだしさ。ちょっと待ってて。 その後、家の中を歩いているであろう足音と、「ジャッキー」と呼ぶ声が聞こえ、そして…… ____エイミーさん久しぶりだね! 今、W県なんだって? すごいねぇ、若い子はフットワークが軽い。オジサン、感心するよ。で、弥生から事情は聞いた。霊視の方法が知りたいんだろ? 自分でよければ喜んで説明するよ。 甘い低音。 僕の中で【世界で、いや宇宙の中でもめちゃくちゃ幸せな男ランキング第一位】、(だって奥さん、弥生さんよ? マジョリカさんよ? 二人共よ? はぁ、こういう人がいるから現世も黄泉も男が余っちゃうんだ、まったくもう)ジャッキーさんの声が滑り込んできたのだ。 「お久しぶりです。元気でしたか? って、今日は仕事? 話してて大丈夫です? 無理言ってごめんなさい、だけど教えて!」 そうなのだ。 ジャッキーさんはいつだって在宅勤務。 この時間に家にいるからって休みとは限らない。 ____心配しないで、大丈夫。現場は今朝早くに終わったよ。それからたっぷり眠ったし、ゴハンも食べた。自分のHP(ヒットポイント)はフルメーターだ。ちなみに今夜は弥生が作ってくれたカラアゲを食べたよ。おいしかった、今度食べにおいで。 「あ、絶対行きます。カラアゲ食べたい。 それでね、僕、なんとしても近日中に霊視したいんです。先代の居場所を視付けて合流しなくちゃいけないの。なので一週間で霊視スキルをモノにした、ジャッキーさんのやり方を事細かに教えてくださいっ!」 電話じゃ見えないだろうけど、そんなの関係ない。 僕はガバッと頭を下げた。 ジャッキーさん、マジ救世主だよ。
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