第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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____もちろんいいよ。自分の方法はけっこう霊力(ちから)を消費するけどエイミーさんなら問題ないしね。 とりあえず、先代の居場所がわかればいいんだよね? 「はい。先代は今、瀬山さんという方と一緒に僕を待ってるんです。居場所を探して早く合流したいんだけど、手掛かりは”W県内のどこかの山の中”、というコトしかわかりません」 ____あらら、そりゃまた随分ザックリだね。でも、県内すべてを探すんじゃない、山だけと絞られているんだ。大丈夫、視付けられるよ。 いやぁ、こういうの懐かしいな。自分がド新人だった頃もね、とある事情から早急に霊視を覚る必要があったんだ。でもね、うまくいかなかった。特訓を受けてもピンとこない。”絶対に視る!”と気合を入れても何も視えない。視えないままだと非常に困るというのにだ。ははは、あの時は必死だったよ。だってその事情っていうのがさぁ…………ってイカン。 自分、久しぶりにエイミーさんと話せて浮かれてるみたいだ。すまない、あやうく話が長くなるトコだった。結論から言うよ。同じ現世にいて生死は問わず。対象者の居場所を探るには…………放電をすればいいんだ。 「放電……」 僕はオウム返しに呟いた後、しばし考え込んでしまった。 放電で……探すの? それってもしかしてアレかな。 神奈川の現場とマジョリカさんの現場で使った、赤い鎖の霊術の事を言ってる? あの時……僕は霊力(ちから)を溜めて塊にし、そこから百の単位で伸びる鎖が、逃げ惑う24人のオタク幽霊達や、ヒョウさん率いる悪霊達を、追いかけ、追い詰め、捕まえて、最後は縛り上げて離さなかったんだ。 我ながらアレはすごかった、みーんな捕まえちゃったもん。 ただ、核となる電気の塊から手を離せないから、一切身動きが取れなくなるけど。 ん、確かに赤い鎖は霊を捕まえるには持って来いの術だと思う……なんだけどさ。 「あのぉ、ジャッキーさん。放電で探すっていうのは、前に教えてもらった赤い鎖の霊術のコトですかね? 確かにアレなら、鎖が勝手に霊を探しに行くし、視付けたら捕まえてくれる。でも……鎖の可動範囲は、僕を起点にせいぜい半径200メートルなんです。黒十字様のオウチとか、公園の敷地くらいが稼働の限界。山の広さをカバー出来ない。せっかく教えてくれたのに、放電じゃあ探せないかも……僕の霊力(ちから)不足です……ご、ご、ご、ごべんだざいぃぃぃ……!」 言いながらズーンと落ち込む。 僕の霊力(ちから)が足りなくて、そのせいでジャッキーさんをガッカリさせて、そして霊視成功からまた遠のいた。 希望の光が見えたと思ったのに……また塞がってしまった。
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