第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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____えぇ! そうなの? 彼女も少し霊力(ちから)があるとは聞いてたけど、結界張るなんてスゴイじゃない! 「ですよねぇ。僕も頑張らないと、いやマジで。で、話は戻るんですけど、電柱に霊力(ちから)を流す……ってコトは……、コトは? どうなるんだ?」 ____山に登らなくても、ふもとから先代の気配を探せるってコトだよ。電柱に張ってあるケーブルには電気、電話、インターネットにケーブルテレビ、色んな回線が通ってるだろ? そういった設備はなにも街中限定ではないんだ。本数は減るかもだけど山にだってある。山小屋に引く電気、電話、ネットもそうだし、山小屋がなくたって、携帯電話の電波塔、気象関係の設備、等々。なんかしらのケーブルがあるんだ。起点の電柱から流した霊力(ちから)はケーブルの中を通り上部へと進む。途中、先代が近くにいれば気配を掴む事が出来る……あ、そうそう、その気配の掴み方はあとで説明するからね。 「ありがとうございます、是非! だけど、そんな事して大丈夫なんですか? ケーブルって電気が通ってるのに、僕の霊力(ちから)を流したら悪影響で停電になったりしない? 賠償金とか請求されたらヤダな……」 ____あははは、賠償金は自分もヤダよ。でも大丈夫だ。うんと大きな霊力(ちから)を一気に流すのでなければ問題ない。言ったろ? 霊力(ちから)は生活電気と似て非なり。細く流す分には影響はないよ。 「よ、良かったぁ、安心しました」 ____この方法は霊視が出来るようになるまでの仮の方法。そのうち慣れて覚えてしまえば直接視た方がずっと楽だからね。 エイミーさんは……………………今、N空港近くの……そこは公園かな? ブランコがある……なんだこりゃ、【使用禁止】の張り紙が貼ってあるよ。キミはベンチに座って電話をしてるだろ。 「そ、そうです! ジャッキーさん、今僕を視てるんですか?」 ____ああ、ちょうど今視たとこだ。 「東京からW県、すっごい離れてるのに……すごいな」 ____慣れたらキミにも出来るさ。最初はね、距離に泣かされるんだ。霊力(ちから)を使い慣れてる人なら、【印を結んで”絶対に視る”と気合いを入れるんだ!】、このザックリした説明でも、なんとなく出来てしまう。でもね、エイミーさんのように霊力(ちから)を使い始めて間もない人には難しい。それでも、印を結んで霊力反応が出るのなら、うんと近い距離で静止してるモノなら視えるはずだ。そうね、最初はせいぜい数十センチ、1メートル先が視えたら上出来だよ。 「あ……そういうモノなのか……良かった……僕が特別ダメなのかと心配だったのよね」 ____ははは、そんなコトないさ。霊視の訓練を始めた初日じゃないか。エイミーさんのいる場所から山を視るには距離がありすぎたんだ。だからエイミーさんから距離を詰めればいい。山のふもとまでで行って、さっきの方法で電柱からケーブルに入り込み、霊力(ちから)に先代を探させるんだ。ここまではいいかな? 「はい!」 ____よし、じゃあ次は気配の掴み方だ。慣れないうちは、いくらケーブルに霊力(ちから)を流しても、そこから何か視たり聞いたりは出来ない。そこでだ、霊力(ちから)同士が引き合う性質を利用する。 霊力(ちから)同士が引き合う性質、か。 …… …………あーあーあー、アレね、思い出した、うん、そう、アレ。 ってウソです、分かりません。 それってどういう意味ですかね?
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