第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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「いや、それがですね、めちゃくちゃ謙虚で穏やかな優しい方なんです。色が白くて線が細くて、ゆっくりとした話し方。享年は70才だけど、今の視た目は20才(ハタチ)の青年。なんでも黄泉の国で霊体(からだ)を再構築したんですって」 ____へぇ! 「先代とは生者の頃、島根で一緒で仲良しだから、二人してクイズを出して、僕が外すと嬉しそうに笑ってました」 ____クイズ? ”伝説”なのにクイズを出すなんて意外だな。 「あはは、僕も思いました。でもね、黙っていたらごく普通の青年なんです。それこそ”趣味はクイズです”と言っても、なんの違和感もないくらい。亡くなられて十年、いまだ”伝説の霊媒師”と評される方には視えなかった。僕と気さくに話してくれたし」 ____ああ、そう。本当に実力のある方というのは、威張ったり得意がったりしないのかもしれないねぇ。 「ですねぇ。だけど、そうは言ってもやっぱり”伝説”でしたよ。だって実力、ハンパなかったもん。瀬山さんは足をこう……”タン” と鳴らしただけで風を起こしたんです。地面から熱風が吹き上がり、あまりの激しさに僕、本気で飛ばされるかと思いました。印も結ばず、言霊も唱えず。なのに霊力(ちから)を発動させて、」 ____んあぁ!? ちょっと待て! 「えっ? なんですか?」 ____なんですかじゃないよ。キミ、自分で何を言ったかわかってる? 「そりゃアレですよ。要約すれば、“瀬山さん、マジパネェ!”って」 ____やややや、違うから。自分が今食いついてるのはソコじゃないから。瀬山さん、足を鳴らしただけで熱風を起こしたんだよね? 間違いないよね? じゃあそれ、ナニ(・・)で起こしたのよ! 「ナニって、そりゃあ、……………………あ、」 ____そういうの早く思いだしてよぉ! 飛ばされそうになるほど風を浴びたんでしょぉ? じゃあたっぷり付いてるじゃない! キミの身体に! 瀬山さんの霊力がぁ! このあと僕は。 ジャッキーさんにたっぷりと呆れられ、そして、僕の身体に付着した瀬山さんの霊力(ちから)をどう使ったらいいのか。 そらあもう丁寧に、ガッツリと教えてもらったのだ。
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