第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

39/267
前へ
/2550ページ
次へ
作業はこうだ。 僕の身体に付着してるであろう、瀬山さんの霊力(ちから)。 これをかき集め、一つの塊にするにはつなぎ(・・・)が必要なのだという。 つなぎ(・・・)……そう聞いた時、僕の頭の中では小麦粉とかパン粉とか、そういったモノが浮かんでいた。 つなぎ(・・・)は大事だ。 だってハンバーグを作る時、つなぎ(・・・)無しで挽肉はまとまらない。 昨日の電話でジャッキーさんにそう言うと「ああ、まさにそんな感じだよ」と真面目な声で答えてくれた。 マジか。 瀬山さんの貴重な霊力(ちから)は、ハンバーグにたとえると挽肉のポジションなのか。 じゃあ小麦粉のポジションは?(もしくはパン粉、はたまた卵) その答えはやはりと言うべきか。 それは僕の発する霊力(ちから)だと教えてくれた。 ____いつものように放電すれば、 ____瀬山さんの霊力(ちから)を浮かせて集めて、 ____つなぎ(・・・)でまとめて塊に出来る、 ____ただし霊力(ちから)赤はいただけない(・・・・・・・・)白を使うんだ(・・・・・・)、 という事は、死者と生者の切り分けや、霊矢の構築で使ういつもの霊力(ちから)じゃダメ。 僕の霊力(ちから)で白と言えば、癒しの霊術だ。 痛いの痛いの、宇宙の彼方へ飛んでいけー! という……今思えばどうして言霊コレにしちゃったんだろ、人前で唱えても照れたりしない無難なのにしとけば良かった……と思ってしまうのはあるけれど(G・Aネクロマンサーさんの気持ち、僕わかるんだ)、”人を助けたい”と強く願えば、溜まる霊力(ちから)はオートで白くなる。 回復霊術を使う時、僕は誰かを助けたいと願いながら目一杯白い霊力(ちから)を溜め、これ以上は溜まらないと思ったタイミングで癒しの言霊を唱える。 すると霊力(ちから)は癒したいと願う対象者を優しく包み、包んだ中で負傷ヶ所の修復をする。 この”包む”と”修復”が付着した霊力(ちから)を集め、白の霊力(ちから)つなぎ(・・・)にして、塊に再構築してくれるというのだ。 それともう一つ。 瀬山さんの霊力(ちから)は、付けようとして付けたものではない。 風を浴び、そこに含まれる霊力(ちから)が偶然付いただけもの。 身体全体、かき集めれば量はあるけど、丁寧に扱わなければどんどん飛散してしまう。 だから赤い霊力(ちから)なんてもってのほか。 チカラが強くて接触させれば一気に飛散してしまうもの。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加