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「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
再び僕は絶叫し、
同時、大福は僕のおでこを踏み台に大きく飛んだ。
「はぅ、肉球ぅ……!」
足の裏の柔らかな感触に一瞬うっとりしたものの、すぐに引き締め上を視た。
そこにはさっき視た光景の2ターン目、丸いオシリとそこから生える三本の尻尾。
ただ違うのは、1ターン目の尻尾は優雅に揺れていたけれど、今はブワッと膨れてボワボワになっている(猫は興奮すると尻尾の毛が逆立つのだ)。
大福よりもだいぶ先を飛ぶ塊は、本体へ戻ろうと速度を上げる。
ダメだ……もう間に合わない。
いくら大福の身体能力が高くても、あれだけ距離があれば追いつく事は難しい。
いいんだよ、無理しないで、下僕が気合でなんとかするから……と、下から叫んで呼び戻そうとした時だった。
ん? ん? んんん?
急に遠近感がおかしくなった。
地上からだいぶ離れた大福は、遠近法で小さく視えるはずだった。
てか、さっきまで小さかったし。
なのに、えぇ? なんで? 見間違い? や、だって、ん、えぇぇぇぇ!!
『うにゃっっ!!』
空から降るのは大福のキューティーボイス、なんだけどデカイ。
社長か弥生さんかってくらい声がデカイ。
てかデカイのは声だけじゃない。
もうこれは見間違いじゃない。
空にはフワフワの白い毛が一面に広がっている。
たゆんたゆんのおなかが動くたびに波打っている。
僕の愛しい大福は、いつぞやのチビクマのごとく巨大化した。
「第二形態!? こんな事今までなかったのに!」
大福は巨大化する事で、塊との距離を一気に縮めた。
そして『もう逃がさにゃい!』と言わんばかりに、塊を咥えるのではなく、パクッと口の中に入れてしまったのだ。
塊を捕まえた猫又は、シュルシュルと小さく戻りながら僕の元へと降りてきた。
とは言ってもいつもよりは大きくて、昔動物園で見たトラかライオンくらいのスケールだ。
ドスドスドス。
いつもと違う重量感で僕の目の前に座った大福は、口の中で暴れてるであろう塊を逃すまいとお口を閉じている。
そうか……瀬山さんの塊は何度でも戻ろうとするんだな。
一度捕まえたからって、そのあと大人しくなるとは限らないのだ。
油断した……でも大福が捕まえてくれたよ。
しかも、こんなに大きくなって。
僕は目の前の猫又をまじまじと視た。
可愛さはそのまんま、なのにデカイ。
もうさ、お得にもほどがある。
こんなにデカいって事は……僕は我慢も限界で、体当たりするように抱き着いた。
ああ……やっぱりだ……ふわふわもこもこ、抱っこのしがいがハンパない。
これから寝る時だけでもこの大きさになってほしい。
あ、でもな霊体はやっぱり冷たいから、僕は風邪をひいてしまうかもしれないな。
でも、この最高の感触を一度知ってしまったら……ん。
風邪くらいひいてもいっかなと思っちゃうよね。
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