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「二度も助けてくれてありがとね。……ねぇ大福、霊体を大きく出来るようになったんだね」
うなうなうな
口を開けられない大福は、モゴモゴしながら頷いてくれた。
「いつもの大きさにも戻れるの?」
うなうなうな
「そっか、これは尻尾が増えたから出来るようになったのかな? 大きくなっても霊体に負担はかからない?」
うなうなうな
可愛く頷き答えてくれる大福のほっぺは、さっきから膨らんだり萎んだりが忙しい。
きっと中の塊が暴れてるんだ。
さてどうしよう。
このままずっと口の中と言う訳にはいかないし。
僕が受け取り持つにしても、すぐに戻ろうとするのをどうにかしないと、いつ失くしてもおかしくない。
「うーん、どうしようかねぇ。瀬山さんの塊。このままだと使えないよ。大人しくしてくれる方法はないかな」
腕を組み、うんうん唸っている僕を視た大福は、同じく『んー』と唸り考え込んでいるように視えた。
そしてその後……何を思ったのか、それともジャマになってしまったのか、バリボリと音をさせ、口の中の塊を噛み砕きだしたのだ。
「えぇぇぇぇぇぇ!! 大福、なにしてるのぉぉぉ!?」
猫の誤飲は下僕の責任。
瀬山さんの霊力だから食べたって問題無いとは思うけど、万が一、この子に何かがあったら……!
「食べちゃダメ! すぐに吐いて!」
すぐさま両手を広げ、背中と喉を同時に撫でる。
ミカン大の塊は、結構な硬さがあった。
それを噛み砕いて飲み込めば、喉を傷付けてしまうかもしれない。
癒しの言霊を使えば治してあげる事は出来るけど、そういう問題じゃない。
大福に痛い思いをさせたくない。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、大福はバリボリと音をさせ得意げに口をもぐもぐさせている、そして……ごくん。
「やだっ! 飲んじゃったの!? 喉は? お腹は? 痛くない? 気持ち悪いとかない? ちょっとダメ、心配、お願い吐いてっ!」
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