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僕の片手に赤の霊力が溜まっていく。
それに伴い、もう片手に持つ瀬山さんの塊も温かくなってきた。
僕の霊力に反応しているみたいだ。
いいぞ、ここまでは良い調子。
今回、溜めた霊力を電柱に流すにあたり、量を抑える必要がある。
だってジャッキーさんが言っていた。
____うんと大きな霊力を一気に流すのでなければ問題ない、
と。
そう聞いて安心したけど、逆に言えば、うっかり加減を間違えるとマズイって事なんだ。
それに気付いた僕は慎重になった。
だってさ、修行のせいで近隣の方々に迷惑をかける訳にはいかないもん。
弱く、細く、優しく、か。
最初はね、うまく出来るか不安があった。
ここ最近、現場はいつも全力全開。
霊力を出しまくっていたからね。
それをどう調整したらいいか考えた時、ふと思い出したの。
霊力の加減、これ、前にした事があったじゃないって。
そう、あれは4月。
ガチのド新人だった頃だ。
社長に連れられ、東京都H市のアパートにOJTとして行った時、僕は初めてユリちゃんのお母さん……貴子さんに会った。
11年もの長い間、アパートに縛られていた貴子さん。
僕は彼女の為に、霊力を使って桜の花を作ったの。
正直形は不揃いだった。
それでも、色だけはうまく出来たと、少しだけ自信を持った。
霊力を、いつもの三割減に抑えて、赤い色を薄くして、桜のようなピンク色にしたんだ。★
思い出せ。
あの時と同じようにすればいい。
溜める霊力を意識して弱めれば、赤い光は桜の色に変化する。
それを目安に、霊力の色が桜色に変わったら、そのタイミングで電柱に流し込めばいい。
という事で。
霊矢の時とか、鎖の時とか(特にコレね)、オフェンス系の霊術を使う時とは違う、ゆるやかな気持ちに切り替える。
その辺の草花をスンスン嗅いでるプリティ猫又を視れば、それは実に容易い事だった。
てか、必死になってデカイ霊力を溜めるより、ぜんぜん楽チンだ。
こんなんでいいのかなってくらい。
あっという間に霊力が溜まり(桜色)、起点に決めた電柱に流し込んでみた。
これを弱く、細く、優しく、継続して流し続ければいい。
うまい事この山に先代達がいれば、釣り糸が引くように引っ張られるはずだ。
さあ、ココにいるのか否か。
どっちだ。
★OJTの初現場で桜の花を構築したシーンがココです。
https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=58&preview=1
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