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山の坂道を歩き続けていた。
途中で何度も起点を変え、放電する事複数回。
先代達の居所はまだ知れない。
今わかっているのは、”二人は山の上の方にいる”、という事だけだ。
それでも気持ちは楽だった。
昨日の夕方にW県に着き、休む間もなく霊視にチャレンジ。
だけど視えてこなくって、不安と焦りで心が折れかけたけど……
先輩方とG・Aネクロマンサーさんご夫妻に救ってもらい、大福にも助けられ、今こうして具体的な手掛かりを辿れている状況は、僕にとってとても明るい。
山道はキツイけど、肉体的疲労はどうにでもなる。
いざとなったら、自分で自分に癒しの言霊を使えばいい。
とまぁ、そうなんだけど、癒してもどうにもならないのが空腹だ。
慣れない山登りと継続的な放電でカロリーを相当消費したらしく、僕のお腹はグーグーと鳴り出した。
時刻は10時を過ぎた頃。
お昼ご飯には早いけど、G・Aネクロマンサーのオウチで朝食をごちそうになったのは早朝5時半。
持たせてもらったお弁当、いただいちゃおうかな。
「大福、ここらでちょっと休憩しよう」
とはいえどこで食べようか。
さっきから1台も車が通らないとはいえ、一応ここは車道だもの。
こんな所でお弁当を広げたら、車が来た時迷惑になっちゃう。
とりあえず背伸びでキョロキョロしてみると、あと数メートル進んだ所に、車が2台ほど停められそうな展望スペースを発見。
よし、あそこでランチタイムだ。
テクテクと歩き、少しだけ広い場所へとやってきた。
転落防止の柵には草の蔓が絡み会社を思い出す。
うーん、と大きく伸びをしてから、お弁当を取り出した。
中身はおにぎりが3つに、使い捨て容器に入ったおかずがいっぱい。
おいしそうだなぁ!
厚焼き玉子には海苔が一緒に巻いてあり、切った面がグルグルしていて目に楽しい。
お弁当の定番ともいえる鮭は竜田揚げにしてあって、サクッとした食感なのに、中は脂がのっている。
ほうれん草の胡麻和えに、コショウのきいたソーセージ、カリフラワーとベーコンのソテーも最高だ。
「おいしいねぇ」
『うななーん』
僕はお弁当、大福はおやつの”ちゅるー”、一人とイチニャンのランチタイムは幸せいっぱい、お腹もいっぱい……ああ、幸せだ。
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