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数多の鎖が宙を舞う。
うねり、たわみ、蛇のように、矢のように。
たった一人を探し求めて、急上昇と急降下を繰り返し、旋回し、時に止まり……やがて鎖は規則的な円状に、飛行範囲を広げていった。
その様子を鎖の中心で視上げた僕は、
「なんか……巨大な彼岸花みたいだな」
思わず独り言ちた。
赤黒い鎖の色は少し怖い。
だけども、発光しながら広がるさまは美しく、彼岸花を連想させた。
彼岸花は墓地に植えられる事が多いと聞くけど、それゆえだろうか?
”幽霊花”とか”死人花”とか、そんな風に呼ぶ人もいるんだ。
生きたお花を、”幽霊”とか”死人”とか、なんだかネガティブな呼び方だよね。
本当はそんな事ないのに。
僕は昔学生の頃、お花屋さんでアルバイトをしてたから薄っすらと覚えてる。
彼岸花の花言葉の一つには、”再会” というのがあるの。
なんだか今の僕達にぴったりじゃないか?
こんなに大きな彼岸花が咲いたんだ。
必ず会える、必ず視付ける、……だから。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
気合いを入れて、更に霊力を注ぎ込む。
今の僕では、最長200メートルの鎖しか構築出来ない。
それを少しでも伸ばせたら、きっと瀬山さんをここに、………………えっ!?
ビンッ!!
僕の位置から2時の方向。
そこへと伸びる1本が、不意を打って張り詰めた。
同時、僕の身体が大きく揺れる。
マ、マズイ……!
身体が引っ張られる……!
負けるな、耐えるんだ、転んだりしたら最悪だ!
僕の手には鎖の親玉、赤い霊力で出来た塊があり、鎖はすべてここから伸びている……そうなんだけど。
もしだよ、この親玉から手を離したら……その瞬間、すべての鎖が消えてなくなる。
考えただけでココロが折れそう、絶対やだよ。
せっかくココまで頑張ったんだ。
転んで塊が手から落ちたら……クソッ!
意地でも転ぶ訳にはいかないよ。
焦った僕は額に汗して、足を広げて踏ん張った。
ピンと張り詰めた1本の鎖。
この先にいるのはおそらく瀬山さんだ。
姿は視せずに、鎖をグイグイ引っ張ってくる。
なんだよ、素直に来てくれたらいいのに。
なんで綱引きみたいな事をするのか。
真意はわからない……が、今二人は繋がっている。
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