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大地には草が生え、木の実や折れた小枝がそこいらじゅうに転がっている。
その上を、強い霊力で引きずられ、踏ん張るスニーカーは地面に跡を残していた。
ズルズル……ズルズルズル……
「あぅ……持ってかれる……連れていかれる……」
こめかみに生ぬるい汗が流れ、引きずられながらも鎖の親玉を落とさないよう頑張っていた。
赤い鎖はパワーもあるし、霊の拘束もお手の物。
だけど下手に術者が動けなくなるのが難点だ。
神奈川の現場でもマジョリカさんの現場でも、動けない事で大変な思いをしたのよね。
改善すべき大きな点、コレ……あとで先代と瀬山さんに相談してみよう。
ズルズル……ズルズルズル……ズルズルズルズル……
そんな事より、ちょ、どうしよう……やだ、抗えない。
これじゃあ、瀬山さんをココに呼ぶどころの話じゃないよ。
僕の計画では、
赤い鎖発動→鎖、瀬山さん発見!→鎖でクルクル拘束→ビューンと僕のトコまで来てもらう→大福、僕をベタ褒め!→ハッピーエンド♪
こんな感じだったのに……完全に僕の霊力負け。
引っ張る霊力があまりに強くて勝てる気がしない。
このままだと負ける、瀬山さんに引きずられる____
……
…………
って……あれ?
別にいいじゃん。
問題なくない?
ああ、もう。
僕はダメだな。
瀬山さんにココまでお越しいただく、そればっかりを考えてたから気が付くのが遅かった。
僕が引っ張ろうと、瀬山さんが引っ張ろうと、要は会えればいいんだもの。
そうだよ、抗わず、このまま鎖に身を任せ、瀬山さんの所に連れてってもらえばいいじゃない!
ココロがオドル、オドリまくる。
空には巨大な彼岸花、花言葉は現実になる。
くぅ……!
思えばここまでくるのは長かった。
これで会える、やっと、やっと、修行の入口に立てるんだ……!
肩から力が抜けた。
その分、鎖の親玉をしっかりと掴む。
引っ張る霊力はいまだに強い。
僕は踏ん張るのをやめ、愛しの猫又に声を掛けた。
「大福、僕と一緒にかけっこをしよう」
『うなっ!』
元気に答えたスィートハニーは早々に地を蹴った。
二瞬遅れで僕も駆け出す。
引っ張る霊力は強いから、走るくらいでちょうどいい。
行きつく先には瀬山さんがいるはずだ。
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