第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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突破口が見えた事で、僕の思考に少しの余裕が生まれた。 その結果、 ____僕の元までご足労願いますぅぅぅぅぅ!! なんて言った手前、出向くだけじゃカッコがつかなくないか? 引っ張る鎖に誘導されて、走る片隅、そんな事が頭に浮かぶ。 なもんで気持ちはウズウズ、即実行に移した。 「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 ダッシュしながら気合を入れて、僕の霊力(ちから)を塊経由で彼岸花に流し込む、……と、百を超える花びらは、揃いも揃って向きを変えた。 美しかった花は崩れ、うねりながら互いを絡め、やがてそれらは一本の太い鎖に変化する。 禍々しくも変化の鎖は、蛇が獲物に飛びつくように、走る僕を追い越しながら宙を飛んだ。 そう、当然目標は瀬山さんだ。 僕の傲りでなければだけど、この”対瀬山さん仕様”の鎖なら、さすがに霊力(ちから)負けしてくれるんじゃないか……と思う、いや、思いたい。 期待にココロが跳ねる。 僕からも行くけれど、同時、こちらからも引っ張れば、より確実に”感動の再会”が期待出来ると思うの。 なんて、余計な事をしてるかな? ははは、このまま素直に走っていくのもアリだは思うんだ。 でもさ、せっかくの修行だもの。 いろんな事を試したい。 そんな僕のわがままをきっと二人は許してくれる。
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