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その工程を視逃すまいと、食い入るように視つめていた。
きっと1度じゃ覚えられない。
でもいい、流れだけでも視ておきたい。
それは知らない印だった。
複雑で、繊細で、なのに結び慣れていて、まるで得意な楽器を演奏しているような感じ。
ゆっくり蠢く極太鎖は相も変わらず赤黒の、禍々しい光を発していた。
もし手を離したら……途端鎖は消え、その上にいる瀬山さんが落ちてしまう。
印の途中でそんな事が起きないように、僕は瀬山さんから目を逸らさないまま、手の中の鎖の親玉をしっかりと持ち続けていた。
演奏を視る事数十秒。
徐々に絡む手指がほどけ始め……どうやら工程が終わったみたいだ。
『岡村さん、よく視ててね』
優しい声でそう言われ、瀬山さんの霊術が発動するのだと、それは一体どういう術なのかと、期待に胸が高まった……
その時だった。
向かい合わせに湾曲させた、瀬山さんの手の中が光った。
それは”瀬山さんの霊力の塊”と同じ綺麗な真珠色で、放射線状に放たれる。
僕はその眩しさに思わず目を細めた。
狭めた視界に映るもの。
瀬山さんから発せられる霊力は、まるで白い彼岸花のようだった。
その花びらはメートル単位で広がって、だがすぐに留まり、2秒の滞空の後、方向を変えた。
根元から内側に折り返した花びらは、先の尖る触手と化して、霊力を発した主へと向かう。
危ない、と思った。
だがそれは杞憂に終わり、高速の鋭利な触手は狙いを定めて一斉に____
瀬山さんの足元、僕の鎖をズブズブと突き刺した。
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