2367人が本棚に入れています
本棚に追加
言われて気付いた。
そうだよ、鎖の親玉はどこへいった?
拘束前、塊は確かに僕の手の中にあった。
アレを離したら、鎖の上の瀬山さんが落ちてしまう。
だから決して落とさぬように、両手にしっかり持っていた。
なのに塊は消えたんだ。
現状を整理しよう。
今僕は網脂に拘束されて、ミノムシみたいにグルグル巻きだ。
肘を曲げ、両手を向かい合わせに、塊を持つポージングのまま固められている。
拘束までは一瞬で、塊を奪われたり落としたりはしていない……はずなのに、手の中に塊の感触はない、空っぽだ。
頭の中は疑問符で埋め尽くされていた。
答えが知りたい僕は、地面から首を上げ瀬山さんと目を合わす。
そして聞いた。
「”塊”は……消えました。確かに持っていたはずなのに。だけど”鎖”は……まだそこにある、瀬山さんの足元だ。もしかして、塊は瀬山さんが持ってるんですか? 僕が拘束された時に超早業で奪ったとか。……でもな、いくらなんでもあの一瞬の間でそんな事は不可能だ」
ならどこにある?
その辺を探そうにも拘束されて動けない。
頭で考えるしかないのだ。
なにかヒントはないのだろうか……?
あ……そういえば言ってたな。
____本来キミが手を離したら鎖は消えるはずでしょう?
____だけど私は今、その鎖の上に座ってる、
これがヒントだ。
鎖はいまだそこにある。
鎖を消滅させず維持する為には、”鎖の親玉”に霊力を流し続けなければならない。
”最終的には私の意のままに操れるようにした”、と言っていた瀬山さんなら当然、自分の霊力を流す事も出来るはず。
最初のコメントを投稿しよう!