第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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なのにわざわざ言ったんだ。 ”キミが手を離したら鎖は消えるはずでしょう?”と。 という事は、霊力(ちから)の供給源を僕のままにしてるってコトだ。 それはきっと修行の為に、教材としてそうしてくれたんじゃないかな。 でもさぁ、じゃあドコにあるんだって話だよ。 だって僕はミノムシで、手の中は空っぽで、オシリの下に転がってる感じでもなさそうで、だけど鎖は維持されてる、なら僕の身体のどこかに触れてるはずなんだ。 クソッ! 拘束網を解いてくれれば探せるのに、これがジャマしt…………あ、もしかして。 僕は地面に転がりながら、必死に身体を捩り横向きになった。 仰向けじゃ視えない、でもこれなら。 身体をくの字に可能なかぎり首を下げ、縛る網を視てみると……あった! 足の先まで絡む網には、そこから生える白い触手がクネクネと伸びている。 それを目で追ってやれば、行きつく先は瀬山さんの座る極太鎖に繋がっていた。 網と鎖が触手によって有線接続。 この状態で鎖が維持されるなら、必要な霊力(ちから)は僕に接触中の拘束網から流れているって事……じゃないか? ____キミが大事に持っていた鎖の親玉は今どこにあると思う? それはつまり、 「鎖の親玉はココにあります。あの短い時間で信じ難いけど……瀬山さんが塊を再構築したんですよね? 僕を縛るこの網に」 僕の答えに瀬山さんはにっこりと笑い、まるで先代みたいな口調で、 『うん、ご名答』 こう言ってくれたんだ。
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