第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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接続後すぐ。 半瞬、霊矢が強く光り、 直後、僕の身体は例の網脂でグルグル巻きに____そう、霊矢は拘束網に再構築されていた。 てか、またミノムシだよ……!(今回は倒れなかった、かろうじて立っている) 『外した霊矢を無駄にしない。再構築で拘束具にするんだ。ここま出来れば70点。もう30点稼ぐにはこう、』 レベル神すぎ霊媒師匠は、ボソリボソリと口の中で何かを呟く。 言霊だろうか? 聞き取れないコトバを唱えてすぐ。 繋がる触手が明滅し、僕は全身の力が抜けていくのを感じた。 急な立ち眩みに似て、血の気が引き視界が白くなっていく。 なんだ……これ、キモチワルイ……チカラを……いや、霊力(ちから)を吸い取られるみたいな感覚だ。 「ぁ……ぁ……ぁぅ……」 声が出ない、力が入らないよ…… 『ああ、ごめん! やり過ぎた! すぐに戻すからね、』 遠くで瀬山さんの声がした……意識が……遠のく……グラグラする……もうダメ……………………あ、急に治った。 「瀬山さん……今の……なに?」 ウッカリタメ口。 や、だって、それどころじゃないんだもん。 『今のはね、網と触手を介して岡村さんの霊力(ちから)を吸い取ったんだ。希少の子なら多少吸い取ったって身体に影響はない。それにほら、今は戻したから大丈夫でしょう? ……で、でもごめんね。怖がらせちゃったかな、』 何度も僕に謝りながら、拘束網を解いてくれた。 身体は自由になったけど、急な貧血モドキも治ったけど、それでもまだ心臓はドキドキしてる。 そりゃそうだ、めちゃくちゃ怖くてびっくりしたもの。 思い出したら僕涙目……なので、ちょっとごねてみたんだ。 「……うん、怖かった。急にチカラが抜けて意識遠のいたもん、」 泣き言をこぼしてチラリと視れば、瀬山さんは大慌て。 謝りながら30すぎのオッサンの、頭をしきりに撫ぜてくれる。 ああ、なんだかなぁ、すっごく優しい。 瀬山さんってまるで先代みたいだ。 『ご、ごめんよぉ。もうしないからねぇ。で、でもこれで分かったかな? 霊矢を放つ、もし外しても諦めない。霊力(ちから)を無駄にせず、再構築で拘束する。そして悪霊の霊力(ちから)を吸い取るんだ。これが出来れば勝率が上がる。自分を守る為でもあるし、もし誰かと組んで現場に出たなら、仲間を守る事も出来る』 自分を守るだけじゃなく、仲間を守る事が出来る……か。 そっか、そうなんだ。 守りたい人はいっぱいいる。 再構築を覚える事でそれが叶うというのなら、僕は絶対に習得したいよ。 「瀬山さん、僕、頑張ります。仲間を……好きな人達を守れるのなら、なんとしてでも覚えたいです……!」
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